ヴェールの恵みフルーツタルト
フルーツタルトを運んで行くと、既にみんな集まっていて、本当にお待ちかねのようだった。
「みんなお待たせ。」
一人一人に行き渡るようにフルーツタルトを切り分け、配っていく。
「すっごい果物がいっぱいね〜。」
「これ、全部ヴェールで買ってきた果物かい?」
「あぁ、なかなかユニークな果物がたくさんあってな……どれを使うか、フレイと一緒に悩んでしまった。」
そう話していると、リリンが少し興奮した様子でフレイを質問攻めしていた。
「フレイ、これあなたが全部作ったの!?」
「え、えっと……ボクはちょっと手伝っただけだよ。」
「そんなことないさ、果物の下にあるクリームとか、果物を切るのだって手伝ってくれたんだぞ?」
「すごいじゃない!!さすがは私の妹ね。」
リリンは嬉しそうにしながら、フレイの頭をわしゃわしゃと撫で回す。
「それじゃ、そろそろ食べよう。いただきます。」
「「「いただきま〜す!!」」」
そしてみんな一斉に、ヴェールの果物がたっぷりと乗ったフルーツタルトを食べ始める。
「えへへぇ……果物たくさ〜ん!!全部美味しくて、幸せ〜♪」
「あまくて…ちょっと…すっぱくて…おいしい。」
これを心待ちにしていたシアとメリッサの二人は、とても幸せそうにフルーツタルトを味わっていた。
みんな美味しそうに食べているのを、少し嬉しそうにしながら眺めていたフレイに声をかける。
「フレイも食べたほうが良いぞ?折角、自分で作ったんだ美味しいときに食べないと。」
「あ、う、うん!!じゃあ……いただきます。」
フレイも一口フルーツタルトを食べてみると、幸せそうに表情を蕩けさせた。
「ん〜、美味し〜っ!!これすごいね、たくさん果物が乗ってるのに……ちゃんと全部の味がしっかり感じるよ。」
「それだけヴェールの果物一つ一つの個性が際立ってるってことだな。今度、フレイが気になった果物とか見つけたら、それをフルーツタルトにしてもみんな喜んで食べてくれると思うぞ。」
「が、頑張ってみる!!」
「ふふ、お姉ちゃんはずっと待ってるわ。」
妹の成長を喜んでいるリリン……、
この後、ゆっくり味わって食べていたフレイのフルーツタルトに目をつけなければ、姉の尊厳を保てていたはずなのだが……まぁ、それもそれでリリンらしいな。
そうして美味しく、ヴェールの森の恵を味わい尽くしたのだった。
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