勝負を終えて


 大きなホーンフィッシュを担いで、ドーナはこちらへと戻ってきた。


「お帰り、流石だったよ。」


「ドーナお姉さん、かっこよかったぁ!!」


「うん…うん…すごく…かっこよかった。」


 戻ってきたドーナのもとへ、シアとメリッサの二人が駆け寄っていった。


「おっきいお魚さん……。」


「すごい…つの。」


 彼女が担いできたホーンフィッシュに、二人は興味津々だ。


「こいつ食えるらしいから、今晩の夕飯にでもどうだい?」


「あぁ、そうしようか。」


 ドーナからホーンフィッシュを受け取って、バッグの中へとしまう。どんな味の魚なのか楽しみだな。大きいから色んな料理ができそうだ。


 今日の晩御飯のメニューを頭の中で考えていると……。


「そんな魚に負けなくて安心したわ。」


 ランがドーナにそう声をかけていた。素直に褒めないのは、彼女なりの照れ隠しのようなものなんだろうな。


「このぐらい楽勝だよ。」


「ふふっ♪そうじゃなくっちゃ。さぁドーナ、まだまだたくさん見たいところあるんだから、早く行くわよ~!!」


「あっ、ちょっと引っ張らないでおくれよ!!」


 ランに手を引かれ、ドーナはズルズルと引っ張られていく。その姿を見てフレイが呟いた。


「ドーナさんとランさんって、ホント仲いいなぁ~。」


「あぁ、俺もそう思うよ。」


 フレイの言うとおり、最初二人が出会ったときはどうなることかと思ったが……今では、喧嘩などをすることなく仲良く共に過ごしている。


「お兄さん!!お姉さん達行っちゃうよ~!!」


「ぱぱ…はやく…いくの」


 グイグイとシアとメリッサの二人に手を引かれ、俺もドーナ達の後を追うように引きずられる。


「わわっ!?二人ともそんなに引っ張らないでくれ。」


「あっ!!みんな待ってよ~、ボクを置いてかないで!!」


 引っ張られていく俺を見て、フレイが置いていかれまいと焦って駆け寄ってくる。


「フレイちゃん速く~!!」


「ままたち…いっちゃう。」


 そして俺達は、時間が許す限り潮祭をたっぷりと楽しんだ。

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