ドーナvsホーンフィッシュ


「おっとぉ!!ここでまた新たな挑戦者が登場だ~!!次にこの剛力のホーンフィッシュに挑むのは……なんと女性だぁ!!」


 司会が場を盛り上げるなか、ドーナはゆっくりと水槽の前に立った。


「果たして……彼女はホーンフィッシュを釣り上げることができるのか!?運命の勝負が今っ、始まります!!」


「ふん、ドーナがあんな角が付いてるだけの魚に負けるわけないじゃない。」


 水槽の中で悠然と泳ぐホーンフィッシュを見て、ランはそう口にした。


「ヒイラギだってそう思うでしょ?」


「まず負けないだろうな。」


 俺もドーナが負けるなんて、思っちゃいない。むしろ圧勝して帰ってくるだろう。そんなことをランと話していると、ドーナは釣竿に手をかけ、餌の付いた針を水槽の中へと落とし入れた。


 その次の瞬間!!


「食った~!!ホーンフィッシュが彼女の餌に食い付きました!!」


 水槽の中に落とされた餌に、すぐにホーンフィッシュは食い付き引っ張った。ドーナの持つ釣り竿が、の字に曲がっていることから、ホーンフィッシュの力の強さが伺える。


 だが……それ以上のパワーを持っているのが、ドーナだ。


「……こんなもんかい?」


 そう言ってニヤリとドーナは笑う。そして徐々に釣竿を自分の方へと引き寄せ始めた。


 するとどうだろう……ホーンフィッシュは水槽の下の方へと必死になって潜ろうと泳ぐが、その意志とは逆にだんだん水面に引き上げられていく。


「ドーナお姉さんがんばれ~!!」


「まま…がんばって!」


 シアとメリッサの二人がドーナにエールを送る。そのエールが届いたのか、彼女の力が更に増し、どんどんホーンフィッシュは引き上げられていった。


 そしてついには……。


「な、なんとついに……ついにあのホーンフィッシュが釣り上げられたぁ~!?信じられません!!」


 大きな水飛沫と共に、水槽からホーンフィッシュが釣り上げられた。すると、最後の抵抗と言わんばかりに、ホーンフィッシュは自前の角でドーナに向かって突進する。


「そうくると思ったよ。」


 最後の抵抗虚しく、ホーンフィッシュはドーナに自慢の角を掴まれ、捕獲された。


「やっぱりドーナの勝ちだったわね。」


「あぁ、流石だった。」


「ドーナお姉しゃんすご~い!!」


「まま…すごい…かっこいい。」


 そして、見事ホーンフィッシュを釣り上げたドーナは、意気揚々とこちらへと戻ってきた。

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