アプメル
「えへへぇ~やったぁ♪」
「良かったわねシア?」
ギュッとシアは、先程ゲットしたブラックフィッシュのぬいぐるみを抱き締めている。
「じ、自分の定位置がとられたっす~。」
メリッサに抱かれているグレイスが、シアのその姿を見て嘆くように言った。
「わたしじゃ…いや?」
うるっとした瞳で、メリッサは胸元にいるグレイスにそう問いかける。
「そ、そんなことないっす!!だからそんな眼で見ないで欲しいっす~!!」
「ふふ…よかった。」
にっこりと笑って、メリッサは嬉しそうにグレイスを抱き締めた。そして少し歩いていると、フレイがある屋台をじっと見つめているのに気が付いた。
「フレイ、あれが気になるのか?」
「ふえっ!?う、うん。」
フレイが気になっていたのは、小さいアプルの実が光沢のあるものでコーティングされたものだった。りんご飴という表現が一番近いだろうな。
「これを一つくれないか?」
「あいよっ!!
どうやらこれの名前はアプメルというらしい。店主にお金を渡してそれを受け取り、フレイに手渡した。
「い、いいの?」
「遠慮しなくていい。また気になった物があったら言ってくれ。」
「あ、ありがとう……いただきます。」
小さな舌でフレイはアプメルを舐め始める。
「甘くて美味しい……。」
「それ美味しいの?ワタシも食べたいわ〜、ヒイラギ買ってちょうだい?」
「いいぞ、店主もう一つ頼む。」
「あいよっ!!」
店主に再びお金を渡してアプメルを買い、ランに渡す。
「ふふ♪ありがと、いただきま~す♪」
ランもアプメルを舐めるのかと思いきや、彼女は一息にかじりついた。
「ん~♪甘酸っぱくて美味しいわね~。」
バリバリと豪快にアプメルを食べるランの姿を見て、フレイも真似して歯を立ててみるが……。
「あぅ……硬いよぉ~。ボクはゆっくり食べよ。」
カキリ……と硬いアプメルの表面に歯が弾かれ、断念していた。
そして様々な祭りの屋台を楽しみながら歩いていると、何やら多くの人だかりができている会場があるのを見つけた。
「あれはなんだ?」
近づいてみると、人だかりの中心には特設の超巨大な水槽が置いてあり、中にはとんでもなく大きな魚が泳いでいた。
「さぁ、このホーンフィッシュを釣り上げる挑戦者は現れるのかぁ~!?もし釣り上げられたら……なんと!!景品として、こいつを丸々一匹お持ち帰りだぁ!!」
司会の人の言葉に乗せられ、ガタイのいい男達が挑戦するが、皆ホーンフィッシュとやらを釣り上げることはできていない。
「腕くらべかい……面白そうだねぇ。ちょっとアタイ、行ってくるよ。」
袖をまくりながらドーナは人混みをかき分け、水槽の方へと向かっていった。
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