いろんな種類のハンバーグ


 それから少し進むと、以前シュベールに行った時に休憩を挟んだ川のほとりが見えた。

 ここらで一度昼休憩をとった方が良さそうだな。


「よし、グレイス。そこの川の畔に馬車を止めてくれ。」


「了解っす~。」


 そしてグレイスは馬車を止めた。


「みんな、ここらでお昼休憩にしよう。一回馬車から降りていいぞ。」


 辺りには人の気配もないし、馬車が通るときは音が聞こえるから、シン達が人に見られる心配もないだろう。

 馬車を降りてグレイスの装備を外し、俺はハウスキットを使う。普段なら厨房に行って料理をするところだが、今回は時間短縮をするためにストックしている料理を使うぞ。


「お兄さん、今日のお昼ご飯は?」


「今日の昼ご飯は、ハンバーグだ。」


「「はんばーぐ?」」


 シアとメリッサが二人揃って首をかしげた。まだ作ってあげてないものだから、わからないのも無理はないな。


「ハンバーグっていうのは、ミンチにした肉を味付けして捏ねて焼いた料理だぞ。まぁ、聞くより見た方が早いな。」


「今日の昼は肉か!?俄然楽しみであるな。」


 肉というワードにシンが敏感に反応した。シンは根っからの肉好きだからな。


 みんないつものテーブル席についたので、俺はナイフとフォークを並べていく。


「今日の昼ごはんは何種類かバリエーションがあるから、みんなに自分好みのを選んで食べてもらうぞ。」


 見本として一皿ずつ、テーブルにハンバーグを並べた。


「まずこれが一般的なハンバーグだな。ソースはデミグラスソースをかけてある。一番肉の味が感じられるはずだ。」


「む、では我はそれを食べるのだ。」


「自分もそれがいいっす!!」


 全部紹介する前にシンとグレイスは、我先に食べるハンバーグを決めてしまった。

 まぁでも二人はこれを選ぶと思ってたから、予想通りといえば、予想通りだ。


「次が和風ハンバーグだな。これは醤油とバターのソースに、ポン酢で少し酸味を効かせた大根おろしを乗せてる。あっさり食べられるぞ。」


「なら私はそれでいいわ。ライラもこれでいいわよね?」


「はい、お嬢様。」


「ボクもそれがいいな~。」


 リリン一行は和風ハンバーグを選んだ。あっさり食べられるというのが魅力だったんだろうな。


「あと、これが一見普通のハンバーグだが……こうやって割るとチーズが出てくる。」


 チーズインハンバーグを半分に割ると、肉汁と一緒にトロリとチーズが流れ出してくる。それを見たシアとメリッサが目を輝かせた。


「お兄さん!!シアそれがいい!!」


「わたしも…それ…たべたい。」


「私もそれを頂きたいです♪」


 半分に割ると、チーズが出てくる面白さがシアとメリッサ……そしてイリスの興味を引いたらしいな。


「で、最後これが煮込みハンバーグだな。デミグラスソースでじっくり煮込んであるから、中までしっかり味が染み込んでるぞ。」


「ワタシ、それがいいわ。」


「アタイもそれにするよ。」


 これで全員食べるのが決まったな。


 俺はチーズインハンバーグを食べる。なんて言ったって、これが大好物だからな。


 みんなが各々決めたハンバーグを、バッグから取り出して並べていく……。さぁ後は食べるだけだな。


「さ、それじゃ食べよう。いただきます……。」


「「「いただきま〜す!!」」」


 そしてみんな一斉に、自分のハンバーグを食べ始めるのだった。

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