鋭敏なリリン
「さぁ、そろそろ食べないと、トーストがサクサクじゃなくなるぞ?」
そう言って俺が手を合わせると、慌ててみんなも手を合わせた。
「それじゃ、いただきます。」
「「「いただきます!!」」」
早速トーストを手にとって一口かじる。サクサクのトーストの食感に、シャキシャキ食感の三日月草とキュウリ……トロリと半熟のスクランブルエッグに、ねっとり濃厚なアボカド、キュッと甘酸っぱいマトマ。
一口でいろいろな食感と味が味わえる。
「美味しいぃ~♪シア、このトロトロ玉子大好きっ!!」
「おいしい…わたしも…これ…すき!」
シアとメリッサの二人は、スクランブルエッグがお気に入りのようだ。
シアはオムライスが大好きだから、こういうのも好きなんだろうな。後でまたメリッサにも、オムライス作ってあげよう。きっと喜んでくれると思う。
「いつも思うけど、朝からこんなに美味しいもの食べられるなんて、ワタシ達ってホント幸せよね~。」
「ホントだよ。ヒイラギには感謝しないとねぇ。」
「幸せっす~♪ヒイラギさんに着いてきてホント正解だったっすよ~!!」
「神域で怠惰な日々を過ごしているより、こっちでこうやって暮らしている方が生を実感できますね。」
みんなが口々にそう言う最中、リリンが俺に真剣な表情で話しかけてきた。
「あなた……朝食が終わったら少し話があるわ。」
「ん?わかった。」
それだけ言うとリリンは再び朝食を食べ始めた。
そして朝食を食べ終わると、早速リリンに呼び出された。
「話ってなんだ?」
「どうしてあなたから、別の人間の血の匂いがするのかしら?僅かな残り香だから、フレイにはわからなかったみたいだけど…私には隠せないわよ?」
流石にリリンには隠し通せなかったらしい。
「昨日の夜、みんなが寝静まってから二人の男が俺のことを殺しに来たんだ。」
「そういうことね。で、もちろんそいつらから情報を引き出したのよね?」
「あぁ、尋問した結果……国王からの刺客だった。」
「状況は最悪ってわけね。的確にあなたを狙ってくるあたり、死の女神と繋がってることはほぼ確実……。居場所もバレてるし、ここから移動したほうがいいんじゃない?」
「あぁ、だから今日中にはここを移動したい。」
ここから移動しなければ、すぐにまた刺客が送られて来るだろう。
だが、兎にも角にもまずはミルタさんから有益な情報を聞き出さないと始まらない。移動するのはその後だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます