ママと呼んで


 料理を持って、いつも食事をするテーブル席へ向かうと……。そこにはメリッサが座っていた。


「いいにおい…おなかへった。」


「今日も美味しいの作ったから、たくさん食べるんだぞ?」


「うん…いっぱい…たべる。」


 テーブルの上にみんなの分のベジタブルトーストと、オニオンスープを並べ終えたので、みんなのことを起こす。


「みんな朝だぞ~?早く起きないと、俺がみんなの朝御飯食べちゃうからな?」


 そう寝ているみんなに呼び掛けると、みんな一斉にガバッと体を起こした。


「みんなおはよう。朝御飯できてるから早く食べよう。」


 起きたみんなと一通り挨拶を交わし、席についた。


「今日はシアがお兄さんの上に座るっ!!」


 そう言ってシアが俺の太ももの上にピョンと飛び乗ってくる。昨日メリッサのことを羨ましそうに見ていたからな。今日こそはと思っていたんだろう。


「あぅ…しあちゃんに…とられた。」


 しゅん……と悲しそうな顔になるメリッサ。


「それなら今日はワタシの上に座らない?」


「アタイの上でもいいんだよ?」


「まま…!」


 しゅんとなっていたメリッサに、ドーナとランの二人が救いの手をさしのべた。


 そして二人の言葉に表情を明るくしたメリッサは、今回はランの上にちょこんと座った。


「つぎは…どーなままに…すわる。」


「楽しみに待ってるからねぇ、メリッサ。」


 メリッサはドーナとランに頭を撫でられて、気持ち良さそうにしている。

 こうしてみると、本当に二人が母親みたいに見えるな。


「いいなぁ~、ボクもママって呼ばれてみたいなぁ~。」


「メリッサちゃん、私のこともママって呼んでくれてもいいんですからね~?」


 フレイとイリスが、ママと呼ばれる二人のことを羨ましがっている。そんな姿を見たメリッサは……。


「ふれいまま…いりすまま?」


「「はぅっ!?」」


 メリッサは首をかしげながら、二人のことをママと呼んだ。

 ママと呼ばれた二人は、胸を押さえて一瞬のけぞると、嬉しそうにメリッサのことを撫で始める。


「も〜かわいいなぁ~♪ママかぁ~、いつかホントになれればいいなぁ。」


「ふふっ、うふふふっ♪偉いですよ~メリッサちゃん、これからず〜っとママって呼んでくれてもいいんですからね~。」


 すっかりフレイとイリスも、メリッサにメロメロになってしまったようだ。

 ママと呼ぶだけで、ここまで人を惹き付けるメリッサ……恐るべしだ。


「みんなまだまだ子供ねぇ。ママって呼ばれてなにがいいのかしら?」


「りりん…まま?」


「はぅぁっ!?」


 みんなのことを子供扱いしようとしていたリリンだったが、不意にメリッサにママと呼ばれてあえなく撃沈した。

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