ベジタブルトースト


「ぱぱ…あさだよ…おきて?」


 メリッサの声とともに、優しく体をゆさゆさと揺さぶられ目が覚める。


「ん、もう朝か?」


「うん…あさ…まだみんな…ねてる…けど。」


 メリッサの言うとおり、まだ他のみんなは深い眠りの中にいるようだ。すやすやと安らかな寝息をたてている。


「メリッサは眠くないのか?」


「だいじょうぶ…いっぱい…ねたから。」


「そっか無理はするなよ?」


「うん。」


 さてさて、それじゃあみんなが起きてくる前に、朝ごはんを作ってしまおうかな。


「メリッサ、俺は今から朝ごはんを作ってくるからな。」


「あさごはん…たのしみ。」


 朝ごはんというワードを聞いたメリッサは、目をキラキラと輝かせていた。


 早速俺はロッカールームへと向かい、コックコートに着替えて厨房に入った。


「さて、今日はなにを作ろうかな。」


 昨日の夜は野菜を食べていなかったから……今朝は野菜を少し多めに摂取したい。

 手軽に食べられるトーストの上に野菜をのせて、ベジタブルトーストでも作るとするか。


「今回使う野菜は……三日月草とマトマの実、それとアボカドにキュウリだ。スープはオニオンスープにしよう。」


 まずは三日月草の葉っぱをちぎって、よく水で洗う。マトマの実とアボカドは、食べやすい大きさにサイコロカットだ。

 キュウリは斜めにスライスして、さっと水で洗っておく。スープ用の玉ねぎは薄くスライスだ。


「野菜だけトーストの上にのせてもいいが、今回はスクランブルエッグも一緒にのせよう。」


 トースターにパンを人数分入れて焼いているうちに、スクランブルエッグを作ってしまう。


 スクランブルエッグは、熱したフライパンにバターを馴染ませて、塩とコンソメで味をつけた卵液を流し入れ、大きくかき混ぜながら半熟状にしていく。

 卵料理は余熱でも火が入ってしまうので、注意が必要だ。


「スクランブルエッグはこれでよしっ、後はスープを作って終わりだ。」


 鍋に水とコンソメを入れて火にかけて沸騰したら、スライスした玉ねぎを入れる。後は塩とホワイトペッパーで味を整えて、オニオンスープは完成。


 スープを作り終えると同時に、トースターの音がなった。


「それじゃ盛り付けに入ろうか。」


 焼き上がったトーストの上に、三日月草とキュウリをのせて、その上にスクランブルエッグをのせる。


 最後にサイコロカットしたマトマの実と、アボカドを上からのせて……ケチャップとマヨネーズを混ぜた、オーロラソースを上から少し掛けてあげれば完成だ。


「よし出来上がり。じゃあみんなを起こしに行くか。」


 俺は出来上がった朝ごはんを持って、厨房を後にした。

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