メリッサとおやすみ


「ん…みんな…おなかいっぱい…もどってきて。」


 男達に群がっていたハチ達は再び魔法陣の中へと消えていった。先ほどまで男達がいたところには、骨どころか血痕も…髪の毛すらも、何一つ残っていなかった。


「さて、それじゃ帰って寝直そうか。」


「うん。」


 メリッサと手を繋いでハウスキットへと戻った。


 今回のことで、あっち側はもう黒だということがハッキリした。これからは、向こうにこちらの動きを悟られないように動かないといけない。


 しっかし、今回の敵は国か……。あまりにも強大すぎるな。


 一度ソファーに腰掛けてため息を吐いていると、太ももの上にメリッサが座って、ある質問をしてきた。


「ぱぱ…おふとん…どうするの?」


「ん?あ、しまった……。どうしようか。」


 現在俺が抜け出してしまったことで、ドーナとランの間ではシアとグレイスが眠っている。みんなぐっすりと眠ってしまっているし、動かすのは可哀想だ。


「仕方ない、今日はソファーで寝るか。幸い毛布は余ってるしな。」


「ぱぱと…ふたりきり…ふふ♪」


 メリッサは言葉数こそあまり多くはないが、結構感情が表に出やすいな。わかりやすくてとてもいい。


 ソファーの上に横になると、俺の胸の上にメリッサが乗ってきた。毛布を上からかけると、ぎゅ~っとメリッサが強く抱き着いてくる。


「ねぇ…どうして…ぱぱは…わたしを…そだてて…くれるの?」


「どうしてって……あのままじゃメリッサはいずれ死んでしまったかもしれないんだろ?そんなの見捨てられるわけないさ。」


 ぽんぽんとメリッサの頭を撫でながらそう言った。


「そっ…か。」


「それで、どうだった?俺達と1日過ごしてみて。」


「ぱぱも…ままも…しあちゃんも…ここにいる…みんな…やさしくて…おもしろかった。」


「育て親は俺達で大丈夫そうか?」


「うん!!」


「それを聞いて安心したよ。さ、そろそろ寝よう。明日は少し早起きしないといけないからな。」


「うん。」


「それじゃ、おやすみメリッサ。」


「おやすみ…ぱぱ。」


 再び俺はメリッサとともに目を閉じた。幾度かハプニングに見舞われながらも、メリッサが家族になった初めての一日は幕を閉じた。


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