エビとカニ


 さてさて、それじゃあメリッサっていう新しい家族が一人増えたことだし、歓迎会を兼ねて腕によりをかけて夕食を作るとしよう。


「それじゃ俺は今日のご飯を作ってくるから、みんなはメリッサと遊んでてくれ。」


 みんなにメリッサのことをお願いして、一人厨房に向かう。そして調理台の上にエルダーシュリンプを置く。


「こいつは前にも捌いたからな。」


 以前と同じ手順で、エルダーシュリンプのぎっしり詰まった身を殻から外していく。


「今回のやつもプリップリで美味しそうだ。前回はエビチリにしたけど、今回はキングクラブと食べ比べしたいから刺身にしよう。」


 殻から外した身を、一口で食べられるぐらいのサイズの刺身にしていく。蛍光灯の光で、エビの身がキラキラと光ってとても綺麗だ。


「エルダーシュリンプはこれでよし。」


 切った刺身を皿に盛り付け、冷蔵庫にしまっておく。次はキングクラブにとりかかろう。


「普通のカニと同じで、ハサミと足を合わせて全部で10本だな。」


 ただ、規格外に大きいだけで捌く手順は普通のカニと変わらない。


「まずは足と爪を落として……。」


 足と爪を付け根で切り落とし、キングクラブを分解していく。


「よし、後は食べやすいように邪魔な甲殻をトリミングして……キングクラブも終わりだ。」


 こちらも盛り付けて一旦冷蔵庫にしまっておく。


「次はしゃぶしゃぶ用の出汁を引くぞ。今回はシンプルに昆布だしを引こう。」


 水を張った鍋に昆布を入れて、中火より少し弱いぐらいの火でじっくりと出汁を煮出していく。

 沸騰直前で昆布は取り出して、後はとれた出汁に塩で軽く味をつければ、しゃぶしゃぶ用の昆布だしの完成だ。


 出しの味見をしていると……。


「ぱぱ…たのしい?」


 いつの間にやら、すぐ横にメリッサがいた。どうやらこちらが気になって、来てしまったらしいな。


「あぁ、とっても楽しいぞ?」


「それは…なに?」


「これか?今日のみんなのご飯だ。もうすぐ出来上がるから、楽しみに待っててな?」


「うん…まってる。」


 そしてメリッサは、再びみんなのもとへと戻っていった。初めての人間の食事は、メリッサに楽しんでもらえるかな?

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