新たな家族


 ギルドを後にした後、再び服屋へと赴きメリッサの服を何着か購入した。


 そして現在は、ハウスキットへと向かって帰路についている途中だった。


「ぱぱの…いえ…どこ?」


「この森の奥にあるんだ。もうすぐ見えてくるぞ。」


「たのしみ!」


 リリン達にもメリッサのことを紹介しないといけないな。まぁ間違いなく一悶着あるだろう。


「メリッサちゃん!!あれがシア達のお家だよ!!」


「すごい…きれい。」


 森の中にポツンと佇むハウスキットを見たメリッサは、きらきらと目を輝かせていた。

 街の中で見た建物とも違う造りだから、メリッサにはかなり鮮明に見えているだろうな。


 そして扉を開けて中へと入る……。今日はライラは攻撃をしてこなかった。

 どうやらしっかりと今回は区別をつけてくれたらしい。


「あっ!!ヒイラギさんお帰りなさい!!」


「今日はちょっと遅かったわね?」


「ただいま、ちょっといろいろあってな。」


 本当にに予想外のことが今日はたくさん起こった。パパッとバフォメットに話を聞いて、夕方前には帰ってくるつもりだったんだが……。


「ご苦労だったな、ヒイラギ。それで何かわかったか?」


「あぁ、いろいろとわかったよ。それを報告する前に……先にこの子の紹介をしよう。」


「「「この子?」」」


「自己紹介できるか?」


「うん…だいじょうぶ。」


 そしてメリッサ、はみんなの前で自己紹介を始めた。


「わたし…めりっさ…ぱぱの…こども。」


 その言葉に一同は一瞬フリーズした。少ししてハッと我に帰ったリリン達は、質問の嵐をぶつけてくる。


「ちょ……ど、どういうことなの!?」


「ひ、ヒイラギさんのこと…ぱ、パパって言ってたよね!?」


「あ~、みんなの疑問はもっともだが。取りあえず一旦俺の話を聞いてくれ。」


 今日あった出来事について、リリン達にも包み隠さず全て話した。


「なんだ、そういうことだったのね。」


「も~ビックリしちゃったよ~。先越されちゃったのかと思った。」


「そういうことで、今日から面倒を見ることになるから、みんなよろしく頼むぞ?」


 メリッサの自己紹介を済ませると、リリン達もメリッサに自己紹介をし始めた。


「私はリリンよ?好きに呼んでいいわ。」


「ボクはフレイっていうんだ~。メリッサちゃんよろしくね?」


「私はイリスですよ~♪ママって呼んでもいいですからね~メリッサちゃん?」


「我はシン…シン・ガウルだ。よろしく頼むぞメリッサ。」


「…………ライラだ。」


「りりん…ふれい…いりす…しん…らいら…うん…おぼえた。」


 みんなのいいところを学んで、成長してもらえればいいな。もてはやされるメリッサを見て、そう切に願うのだった。

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