メリッサと囲む初めての食卓


 いつものテーブルにカセットコンロをセットして、昆布だしを入れた鍋を火にかける。

 そしてテーブルの上に、エルダーシュリンプの刺身とキングクラブの刺身を並べる。


「後は好みで醤油と、ポン酢を並べてっと。よし、みんなご飯できたぞ~。」


 そう声をかけると、みんなぞろぞろといつもの席についた。それを眺めていたメリッサは、トコトコと俺の方に歩いてきて、となりに座るのかと思いきや……。


「ここが…いい。」


 ちょこん……とメリッサは俺の太ももの上に座った。


「座りにくくないか?」


「だい…じょうぶ。」


「メリッサちゃんいいなぁ~。シアもそこに座りたい~。」


 俺の上に座っているメリッサを、シアが羨ましそうに見ている。……訂正、シアだけじゃなくドーナとラン、そしてフレイまでも、ジト目でこちらを見ていた。


「さ、食べようか。」


 俺がそう言うと、みんなは両手を合わせた。その光景を、メリッサが不思議そうな顔で見ている。


「メリッサちゃん食べる前にこうやって手を合わせて……いただきます!!ってするんだよ?」


「いただき…ます?」


「うん!!」


 シアを真似してメリッサも両手を合わせた。


「「「いただきます!!」」」


「いただき…ます。」


 メリッサもみんなの真似をして、ちゃんと食前の挨拶をすることができた。


「よし、メリッサ。どれから食べたい?」


「その…おっきいの‥たべたい。」


「カニの足だな、ちょっと待っててな。」


 キングクラブの足を昆布だしにさっとくぐらせる。そして醤油をつけて、メリッサの口元に近づけた。


「熱いから、ゆっくり食べるんだぞ?」


「うん。」


 メリッサは大きく口を開けて、カニの足にかぶりついた。


「おいしい…。ぱぱ…これ…すごくおいしい!」


「まだまだたくさんあるから、いっぱい食べていいからな?」


 キングクラブの足を、メリッサはとても気に入ったらしい。あっという間に一本食べ尽くしてしまった。


「おいし…かった。つぎは…そっち…たべたい。」


「あいよ。」


 エルダーシュリンプの刺身を、醤油をつけてメリッサの口元に近づける。

 すると再び大きな口を開けて、メリッサはエルダーシュリンプの刺身を頬張った。


「あ~むっ…あまい…これも…おいしい。」


 満足してくれているようで何よりだ。


 そしてメリッサがお腹いっぱいになるまで、給仕をしてあげた。

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