サラマンダーの肉
イリスとグレイスと共に街へ出て最初に向かったのは……。
「すごい食べ物がいっぱいですね。」
「どれもこれも美味しそうっす!!」
辺りにたくさん食べ物や食材を売っている店が立ち並ぶ市場に来ていた。
今歩いているのは肉売り場だ。ジルからサラマンダーの解体が終わった……と報告が王宮の方に来ていたので受取りに来たのだ。
肉売り場をしばらく歩いていると、ジルが営んでいる魔物肉専門店が見えてきた。
「よし、着いた。」
扉を開けて中へと入ると、奥からジルがこちらへ歩いてきた。
「ヒイラギ様お待ちしておりました。お伝えした通り、サラマンダーの解体は終えておりますのでどうぞこちらへ。」
ジルの後に続き店内を歩いていると、イリスが話しかけてきた。
「サラマンダーのお肉ってどんな味なんでしょうね?」
「実のところ俺も楽しみで仕方がない。」
「ふふっ、楽しみですね〜♪」
「どんな味か想像してたら、もうお腹減ってきたっす〜。」
さっき朝食を済ませたばかりだというのに、グレイスは自分のお腹を押さえてそう言った。
今夜たっぷり使って料理を作るから、それまで我慢してくれ。
そして店の裏にある解体場に案内されると、そこではグリズ達が待っていた。
「おう!!あんた、昨日はホント助かった……ありがとな。」
「できることをしただけだ。」
こちらの姿を見るとすぐに駆け寄ってきたグリズは、感謝の言葉を述べてきた。
こう…いざ面と向かって言われると少し恥ずかしい。そう思いながらも差し出された手を握り返した。
やはり肉球はプニプニしてる。
「グリズ、では例のものを。」
「あぁ!!今運んでくる。」
グリズは弟子二人を引き連れ解体場の奥へと向かった。すると巨大な肉の塊を三人でせっせとこちらへ運んできた。
「これが解体し終わったサラマンダーの肉だ!!」
彼らが何往復もして運び込んできたサラマンダーの肉は、天高く山となって積み重なっている。
「改めて見ると、とんでもない量だな。」
この量の肉は俺達だけじゃ流石に食べきれないな……。
マジックバッグに入れておけば、腐ったり劣化することはないが……せっかくなら誰か一人でもこの肉を味わってもらいたいな。
「ジル、よかったらこの肉半分買わないか?」
「良いのでございますか!?」
「流石に俺達だけで消費しきれる量じゃない。それにせっかくなら、いろんな人に食べてもらいたいしな。」
そしてジルと交渉し、白金貨100枚でサラマンダーの肉を丁度半分売り渡した。
「ヒイラギ様、ありがとうございました。」
「こちらこそ、解体から何から何まで手掛けてくれて助かったよ。」
改めてジルとグリズ達にお礼を告げ、店を後にすることにした。
「それじゃ、また来るよ。」
「はい、私ジルは心よりヒイラギ様のご来店をお待ちしております。」
サラマンダーの肉を受け取った俺達は、ジル達に見送られながら店を後にするのだった。
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