神華樹の果実
「うむうむ♪今日は気分がよいから仕事がはかどりそうじゃ。」
ひとしきりシアを撫でたミクモは、満足そうな顔でそう言った。心なしか少し顔がつやつやしているようにも見える。
「満足したか?」
「大満足じゃな!!」
「それはよかった。じゃあそろそろ行くとするよ。」
「嬢ちゃんの分もちゃんと直しておくからの~。」
「うんわかったぁ!!お姉さんまたね~!!」
ミクモに見送られて店を後にした。
「ねぇヒイラギ?これからどうするの?」
「そうだなぁ、今日の目的はもう終わっちゃったからな。」
今日はミクモに道着と袴さえ作ってもらえればよかったから、今後の予定について何にも考えてなかった。
「みんなはどこか行きたいところとかないのか?」
「そうねぇ……。」
「あんまりまだこの国のことを詳しく知っているわけじゃないからねぇ。」
「シアはお兄さんと一緒ならどこでもいい!!」
「自分もシアちゃんと同意見っす。」
さて、困ったな。みんな特にあてがないようだし、今日ぐらい王宮でダラダラ過ごしてもいいのかな?
「それなら私に考えがありますよ。」
「い、イリス!?いつの間に後ろにいたんだ?」
「今さっきですよ。」
ミクモは意図的に気配を消しているが、イリスに関しては気配というものがないため、こうやって後ろから急に現れると完全に不意を突かれてしまう。
正直めちゃくちゃ心臓に悪い。
「そういえば花をつけてないが、何で普通に実体で動けてるんだ?」
ついこの前は花を着けてないと実体で動けなかったはずだが……。
「ヒイラギさんあんまり神華樹を見てませんね~?」
「うっ、自分で植えた手前申し訳ない。」
「ふふっ、まぁいいんですけどね。私が今こうして実態を保てている理由……それはこれです!!」
イリスが手をかざすと、手のひらに果実のような物が収まっていた。
「もしかして神華樹の果実か?」
「正解です。」
全然知らなかったぞそんな果実が実っていたなんて……。
「あら?ヒイラギ知らなかったの?」
「みんなは知っていたのか?」
「知ってたもなにも、この前ヒイラギがいない時に食べたからねぇ。」
「美味しかったよ!!」
「めっちゃ美味しかったっす~!!」
「なんだって!?」
お、俺がいない時にみんな試食済み……。くっ、俺が気をかけていなかったのが悪いな。
「この果実はスゴイですよ~。まず私が食べると、このように大量の神気を蓄える事ができて現界していられる時間が大幅に増えます。普通の人が食べれば大きく寿命が延びますね。しか~し、この実は私の神気をい~っぱい摂取してるはずなので……もしかすると見た目ではわからないようなところで、もっと凄いことが起こってるかもしれませんね♪」
……取りあえず後で鑑定だな。これは絶対だ。
「ま、まぁ後で詳しく調べてみよう。それで、イリスの考えっていうのは?」
「それはですね、こちらです。ついてきてください。」
イリスは迷わず大通りを進み始めた。いったいどこに連れていかれるのやら……。
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