特別な場所へ
会議の後で俺はリリンとともに、ドーナたちがいる部屋へと向かう。
部屋の扉を開けると、そこには眠りについたシアとフレイ、そしてグレイスを見守っているドーナたちがいた。
「あ、ヒイラギお帰り~。」
「あぁただいま。シアたちは寝ちゃったみたいだな。」
「フレイも寝てるし、ちょうどいいわね。」
リリンは二人の座っている椅子の正面に腰掛けると、肘をついて話し始めた。
「私たちがさっき話してたことを、あなたたちにも教えてあげる。心して聞きなさい。」
普段とは違うリリンの真剣な面持ちに、二人も思わず緊張している様子だ。
「近々、とんでもなく強い死の女神の手先がここに来るわ。私やヒイラギでも勝てないかもしれないほど、強い奴がね。」
「そ、そんなのどうすればいいのよ。」
「簡単よ、こっちだって有象無象の集まりってわけじゃない。私もいるし、ヒイラギもいる。そこにあなた達二人が加わったらさらに大きな力になる。そうは思わない?」
「確かにそうだけど……でもアタイじゃそんな強敵にはまだ…バフォメットのやつにも勝ててないし…。」
「足手まといにならないかしら…。それが心配よ。」
そんな二人の言葉を聞いて、リリンはニヤリと笑う。
「自分の実力を弁えているようで結構だわ。自分の力量も分からないようじゃ、足手まといになるだけだったけど…やっぱりあなた達は見込みがある。」
彼女はスッと立ち上がると、ドーナたちの首根っこを鷲掴みにした。
「ほへ?」
「な、何を……。」
「そんなあなたたちが強くなれるように、
そしてリリンは二人のことを、俺が肩から提げていたマジックバッグの中に放り込んだ。
「それじゃあとは頼んだわよ。」
「リリンは手伝ってくれないのか?」
立ち去ろうとしたリリンにそう問いかけると…。
「私にもやることがあるわ。残り三日……お互いにできる限りの準備をしましょ。」
それだけ言い残すと、彼女は寝ているフレイに歩み寄りその額に口づけをすると、静かに部屋を去っていった。
「準備……か。」
ドーナたちを強くしながら、俺自身も腕を上げないとな。きっとイリスの作り出す時間の流れが遅い世界でなら、さらなる強さを追求できるはずだ。
先に入って行ったドーナたちを追って、俺もマジックバッグの中に入るのだった。
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