明日の姿に期待を込めて


「美味しかったけど……も、もうたべられないわ。」


「ぼ、ボクももう限界ぃ…。」


 吸血鬼二人はお腹を膨らませてダウンしていた。まぁ、あれだけ食べればそうなる。


「は~、美味しかった!!美容にいいって物をこんなにたくさん食べたから明日が楽しみね♪」


「アタイもこんだけ食べたから、少しは綺麗になるかねぇ~。」


「シアもい~っぱい食べたよ!!綺麗楽しみ~♪」


「自分もたくさん食べたっす!!」


「ふふふっ♪私も、ついついたくさん食べちゃいました♪」


 こちらの女性陣も普段よりもたくさん食べていた。皿に積み重ねられたロックリザードの骨の量がそれを物語っている。


 呆気にとられていると、シンにちょんちょんと肩をつつかれた。


「なぁヒイラギよ、一つ聞きたいのだが。」


「ん?どうしたんだ?」


「そのとやらは、我にも効果はあるのか?」


「あると思うぞ?明日になれば、毛並みが良くなるんじゃないか?」


 あくまでも予想の範疇に過ぎないが……傷んだ毛等は少しは良くなるのではないだろうか。


「本当か!?いやな、最近たてがみの傷みが気になっていたのだ。」


「あ、あぁ……そうなのか。」


 シンがそういうところを気にしているのは意外だった。王としての身だしなみ……ということを考えれば当たり前ではあるのか?


「さて、夜も更けてきたな。明日のこともある、今日のところはこれで失礼するとしよう。今日は馳走になった、感謝するぞヒイラギ。」


 そしてシンはメイドと共に王宮の方へと帰っていった。


「俺達も部屋に戻るか。ライラ、そっちは大丈夫か?」


「問題ない。リリン様、妹様歩けますか?」


「なんとか……ね。」


「うん、た、多分大丈夫。」


 リリンとフレイはグロッキーになりながらも、なんとか立ち上がりライラに案内され自室へと向かった。


 あの状態を見るに、多分今日はフレイの吸血はなさそうだ。


「それじゃ俺達も部屋に行くか。」


「そうね、そうしましょ〜。」


 夕食を終えて部屋に戻ると、各自風呂に入りに向かった。


 お風呂で1日の疲れを流して、部屋に戻ってくると……。


「ん?まだ誰も戻ってないのか。」


 部屋には俺以外誰もいなかった。


 まぁ、みんなコラーゲンで舞い上がっていたからな、その影響で多少お風呂に時間をかけているのだろう。


 椅子に座ってゆっくりしていると、急にウトウトしてきてしまった。


「ん……ちょっと横になろうかな。」


 ベッドの真ん中にゴロン…と横になり、目を閉じるとすぐに意識が深い微睡みの中に落ちていった。

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