朝ご飯は元気の源


 出来上がった朝食を持って厨房を出ると、既にみんな起きていた。


「あ、おはようヒイラギいい朝ね。」


「ヒイラギおはよう、今日も朝からいい匂いがするねぇ。」


「お兄さんおはよ!!」


「ヒイラギさんおはようございますっす!」


「おはよう、みんな。今日の朝ご飯はフレンチトーストだぞ〜。」


 テーブルの上にみんなの分のフレンチトーストとサラダとスープを配膳すると、席についた。


「さ、食べよう。」


「「「「「いただきま〜す!!」」」」」


 シア達は早速フレンチトーストを頬張ると、蕩けたような表情を浮かべていた。


 そしてミルタさんも朝食に手をつけ始めた。


「これはまた、カリカリのパンの外側に反して、中はトロトロの半熟。甘さも砂糖だけではありませんな?あっさりとした甘さでとても美味しいですぞ!!」


 ミルタさんは、フレンチトーストをいたく気に入ってくれたようだ。相変わらず食レポも上手い。


「口に合ってよかったです。」


「いやはや、よもやこんなところでこんなに美味しい料理にありつけるとは……本当に感謝申し上げますぞ。」


「いえいえ、まだまだ自分は半人前なので。」


「またまたご謙遜を。」


 実際俺はまだ半人前なのだ。誰にも一人前と認められたこともないしな。


 そんな会話をミルタさんとしていると、シアにクイッと服の裾を引っ張られた。


「お兄さんの料理は美味しいよ?」


「ありがとう。」


 そう温かい言葉をかけてくれたシアの頭を撫でた。


 そしてみんなで朝食を食べ進めると、俺達は出発の準備を整えた。


「さて、そろそろ出発しましょうか。今日中にはシュベールに着けると思います。」


「よろしくお願い致します。ここからですと順調に進むことができれば、恐らくは2、3時間ほどで着くかと思います。」


 ふむ、意外ともう少しだったんだな。近くまで行ったら、グレイスには小さくなってもらって、歩いて関所を通ることにしよう。

 グレイスがそのままで入るとなると、流石に面倒な事になりそうだからな。


「それじゃあみんな乗ってくれ。」


 シアを筆頭にみんな馬車に乗り込んでいく。


「よし、グレイス今日も頼むぞ。」


「任せてくださいっす~。朝ご飯もしっかり食べて元気いっぱいっす!!全速力で行くっすよ~!!」


 そして、ガラガラとグレイスが馬車を引っ張りシュベールを目指して進んだ。





 様々な料理、食材等が入っているマジックバッグの中……。


 時間が止まっているはずのこの空間で、ハウスキットの窓際に置かれた1つの植木鉢に異変が起こる。


 土が盛り上がりピョコンと光輝く新芽を出したのだ。

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