対決トレジャータートル
シアのためにアイツから宝箱をいただくとしよう。トレジャータートルとやらに近づこうとするとドーナが言った。
「ヒイラギ、トレジャータートルは臆病な魔物でねぇ。近づくとすぐ殻に籠ろうとするから気を付けなよ?」
「そうか、了解した。」
シアを二人に預け、俺は砂浜を蹴りトレジャータートルの前に立つ。すると危険を察知したトレジャータートルは、甲羅の中へと頭を引っ込めようとする。
「そうはさせないぞ。」
首を引っ込める前に首根っこを押さえつけた。そして……
「
トレジャータートルの頭をおもいっきり手で揺らした。この技自体は殺傷能力は低いが脳を揺らすことにより人為的に脳震盪を起こす技だ。そして脳震盪が起こると、相手を気絶させることが可能だ。人も獣も同じくな。
当然ながらトレジャータートルは、脳震盪が起こったせいで口から泡を吹いて地に伏した。こうなると一時間は起きないだろう。
「よし、それじゃあ宝箱開けようか。」
起きてくる前に早く宝箱を開けてしまおう。幸い、よく見ればこのトレジャータートルの背中には三つ分の宝箱が引っ付いている。これならドーナ達も喧嘩せずに開けれそうだ。
「シアこれがいい!!」
さっそくシアは三つの中の一つの宝箱にしがみついている。
「そうか、じゃあ開けてくれ。」
「うん、よい……しょっ!!」
ガパッという音とともに宝箱が開き中からアイテムが出てきた。中から出てきたのは……。
「これなに~?」
「一見ブレスレットみたいだが……。」
まぁわからないときは鑑定だな。
「鑑定」
偽装の腕輪
・装備している者の存在を思っているものに偽装することができる。
「ほぅほぅ……なるほどな、シアそれを着けて人間をイメージしてみてくれ。」
「うん、わかった。」
シアが目をつぶり考えるような素振りをすると、猫耳と尻尾が徐々に透明になり最終的には見えなくなった。
それを見てドーナとランは目を見開いていた。
「あら!?シアの耳と尻尾が無くなったわね。」
「偽装系アイテムか。確かにシアには都合がいいねぇ。」
「えっ!?シア、人間さんになっちゃった!?」
シアもさっきまで自分の耳と尻尾のあった場所を触ってビックリしている。
「外せばもとに戻ると思うぞ?」
おもむろにシアが腕輪を外すと、猫耳と尻尾がポンっと出てきた。俺的には、こっちの方がかわいいと思う。だが、人間の国で生活するには必須のアイテムだ
「シア、それは外にできるときに使おうか?普段から着けてると違和感があるだろ?」
「うん!!そうする~。」
シアはコクリと一つ頷くと腕輪を外して、パーカーのポケットにいれていた。
「さて、次はどっちが開けるんだ?」
「ワタシたちは同時でもいいんじゃないかしら?」
「ちょうどあと二つあるしねぇ。」
そう、まだトレジャータートルの背中には二つ宝箱が残っている。争奪戦にならなくてホントによかった。と内心ほっと安心するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます