ボーナスステージ


 ザクザクと砂浜を歩きながら進んでいると、俺たちの目の前に奇妙なものが現れた。


「おっ?なんだこれ。」


 なにやら大きな箱のようなものが砂浜に埋まっている。それを見たドーナが驚きの声を上げた。


「これ、宝箱じゃないかい!!」


「へぇ、こんなのまでダンジョンの中にあるのか。」


 試しに開けてみるか。宝箱ってぐらいだから、中に何かいいものでも入っているんじゃないかな?そう、期待に胸を膨らませながらそれを開ける。


「なんだこれ?」


 中から出てきたのは一本の包丁のようなものだった。刀身は約30cmほど、刃の色は赤黒く鋼などの材質ではなさそうだ。いったい何でできているんだろうか?


「これは包丁……なのか?」


「ダンジョンの宝箱は開けた人に一番有益な物が出てくるらしいから、ヒイラギに有益なものがそれってことなんじゃないかい?」


「包丁ってことは、ヒイラギはやっぱり料理ってことよね~。」


「お兄さんの料理は美味しいもんね!!」


 そうか、まぁ包丁には困ってないが……あっても困るものでもないし、ありがたくもらっておこう。だがその前に、一度どんなものか鑑定はしておいた方がよさそうだな。


「鑑定。」


 そう唱えた俺の前に鑑定の結果の画面が出てきた。そこにはとんでもないことが書いてあった。




 魔包丁 レヴァ


・込める魔力量によって切れ味が変化する包丁。




「うん、とりあえずしまっとこう。」


 ひとまずマジックバッグに放り込んでおく。


 魔力を込める量によって切れ味が変わる包丁か、今の自分の魔力を最大まで込めたらどうなってしまうんだろうな?

 興味が尽きないが、それはそれで大変なことになりそうな予感がするからやめておこう。


「で、どんな性能だったの?さっき鑑定使ってたわよね?」


「なんか魔力を籠めれば切れ味が変わるんだってさ。」


「それ、もう魔剣じゃない。」


「ランの言う通りだよ、またとんでもないモンが出てきたねぇ。」


 ドーナとランが口々に言った。そこで俺はみんなにある提案をする。


「次、もし宝箱を見つけたら俺じゃない誰かが開けよう。そうじゃないと不公平だ。」


「じゃあ、次はシアでいいんじゃないかい?」


「そうね、そうしましょ。」


「ふぇ?シアでいいの!?」


「いいに決まってるじゃない?ワタシたちは大人だから後でもいいのよ、ね?」


「あぁ、遠慮はいらないよ。頑張って探そうじゃないかい。」


 ドーナ達はシアに次の宝箱を開ける権利を嫌な顔一つせず譲り渡す。


「よかったなシア。」


「うん!!お姉さん達ありがとう!!」


 そんな会話をしてから歩くこと数分、またしても海から浜辺に奇妙な魔物が這いあがってきた。その魔物は亀のような魔物で、背中に何か古びた箱のようなものを背負っている。


「なぁドーナ、あの魔物の背中にくっついてるの宝箱じゃないか?」


「こいつは……ま~た珍しいのがでてきたねぇ~。あいつはって言って、宝箱とかそういうのを背中の甲羅にくっつける習性があるんだよ。」


「なるほど、ならあれを倒せば宝箱が手に入りそうだな。」


 それならここはシアのために一肌脱ぐとしよう。

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