冒険者ギルドにて


 なんやかんやあったが、ステータスカードは何とか作ることができた。


 二度と経験したくない思いはしたが、まぁ作れたからよしだ。手渡されたステータスカードをバッグにしまっていると……。


「お客様~もしよければ、このまま冒険者登録もしていきませんか?」


 そう受付嬢が問いかけてきた。


 せっかくだし登録してみようか。面白そうだし。


「お願いします。」


 俺は二つ返事でお願いした。


「ありがとうございます!!それじゃあこちらの紙に~……。」


「おいおい、そんなヒョロッとしたなりで冒険者になれる分けねぇだろぉ?」


 彼女の話を遮って、俺の隣にキツイアルコール臭をプンプンさせているガタイのいい男がやって来た。


「ちょっと、ヘッジさん絡んでこないで下さいっ!!あと、お酒臭いです!!」


 彼女は強くやめるように言うが、男は全く気にしていないようだ。


「へへへぇ、俺はこのヒョロ野郎に優し~く教えてやってるんだぜぇ?お前みてぇなやつに、この稼業は向いてねぇって助言してあげてんじゃあねぇか?」


 ニタニタと下卑た笑みを浮かべながらヘッジなる男は、俺の肩に大きな手を置いた。シンプルに不快だったのでそれをパシッと弾いて言った。


「あいにく腕には自信がある。余計なお世話だ。」


 軽くあしらい、受付嬢に再び向き直る。


 すると神経を逆なでされて、男は激高し拳を振り上げて襲い掛かってきた。


「なんだとテメェ、調子乗ってんじゃねえぞ!!オラッ…アァ!?」


 がしかし、勢いよく振り抜かれた拳は俺の人差し指一本で止められてしまう。その光景に男は大きく目を見開いた。


「回れ右してとっととテーブルに戻ったほうがいい。ずいぶん酔っぱらってるみたいだからな。」


 そう告げると男は顔を真っ赤にして、もう片方の腕で殴りかかってくる。


 呆れに呆れ、一つ大きなため息を吐き出してそれに対処しようとしたその時、男の顔に俺のものではない誰かの拳が深くめり込んだ。


「ぐあァァァ!!」


 そしてギルドの外まで派手にぶっ飛んでいってしまった。ちらりと隣に視線を向けると、そこには綺麗な赤髪のショートヘアが特徴的な一人の女性がいた。


「ったく、問題ばっかり起こすやつだねぇ。あんた怪我はないかい?」


 大きく一つ息を吐き出して、彼女はこちらに問いかけてきた。


「おかげさまでこの通り無傷だ。」


「そうかい、そいつはよかったよ。ところであんた、冒険者登録しに来たんだろ?」


「あぁ、たった今しようと思ってたところで……。」


 そう答えるとその女性はニヤリと笑い言った。


「それじゃあ、アタイが直々に登録してやるよ。ミース書類よこしな。」


「あ、は…はいっ!!」


 そうしてその女性はミースという受付嬢から紙を受け取り、こちらを向いてまた笑った。


「さぁ、着いてきなよ。」


 彼女はスタスタと歩き二階へと上がっていく。


 俺は導かれるままに彼女の後ろに着いていった。

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