黒龍の宝玉
本能の導きに従い、その黒い水晶玉に思いきってかぶりついた。意外にも見た目とは裏腹にそれは柔らかく、あっさりと噛みきれてしまう。
「悪くない……うん。」
味も案外悪くはない。全然食べられる味だ。例えられる味がないのが残念だが……。
そうしてあっという間に黒い水晶玉は俺の胃袋に収まってしまう。
「はぁ~、ごちそうさまでしたっと。」
黒い水晶を食べ終え、再び仰向けにごろんと横になる。すると満腹感を感じていたところに、今度は強烈な睡魔が襲いかかる。
「この感覚なんだろうな、夢に入る前と同じだ。」
この意識がどんどん薄れていく感覚は、ちょっと前に味わったばかりの感覚だ。
だけど今度は少し違う。
「今度は暖かい……な。」
以前とは対照的に今度は暖かく包み込まれるような感じだ。そして全身で妙な温もりを感じながら、意識は闇へと落ちていった。
◇
気が付くと俺は青空の下で目を覚ました。辺りを見渡すとさっきと同じ草原が広がっている。
「さっきの続きなのか?」
キョロキョロと辺りを見渡しているとあの声が響いた。
《解……その通りです。あなたはまだ死んではおりません。》
「そうか。で、あの黒いドラゴンはなんだったんだ?」
《解……あのドラゴンはカオスドラゴンという魔物です。本当はゴブリンを召喚するつもりだったんですが、
先程までの無機質な話し方とは違い、少し申し訳なさそうな口調でこの声の主は言った。
「なるほどな、じゃあもう一つ質問だ。何で俺の体は元通りになってるんだ?さっき両腕がなくなっていたはずなんだが。」
《解…………。んあぁっ!!もういいですっ!!この話し方めんどくさいんですよ!!えぇ、確かに貴方は瀕死の重症を負いました。しかし死ぬ間際カオスドラゴンの宝玉を取り込みましたよね?》
何か吹っ切れたように声の主は話し始める。どうやらこれが素のようだ。
「あの水晶玉みたいなやつのことか?それなら食ったぞ?」
《貴方はカオスドラゴンの能力をまるまるその体に取り入れ、レベルアップを果たしました。そしてカオスドラゴンが持つ再生能力のお陰で欠損した体を再生することができた。というわけです。》
「能力をまるまる取り入れた?ってことはあのドラゴンの力が使えるってことなのか?」
もしそうだとしたらとんでもないことだが、いやこれは夢だから何でもありなのか?
《その通りです。カオスドラゴンのブレス、回復力、耐久力等全てが貴方に取り込まれ、貴方が使いたいと思った時に使えるようになってます。》
おぉ、夢だけどなんか嬉しいな。
《試しに
「物は試しか、
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