海の森 6

 舞台『キズナコーストガード』を見て、驚いたことが沢山ある。

 ボクと同い年の子たちが、大人顔負けの演技をしていて、主人公のミサキ役の人がバトルシーンで見せる、武器を回すところは、何回でも見たくなった。

 それに、みんな歌とダンスがうまくて、何をしてもカッコイイ。


 だから、いまも記憶に残ってるシーンがある。

 それは、初めて舞台を見たとき、いちばん感動した場面でもあるんだ。


『君と僕の約束、心に染み込んで』


 それは、オープニングのラストにさしかかったところ。

 ステージ2段目の中心に立つリーダーとミサキが歌い。


『これからも支えあって』 

『未来へと進もう』


 ミナトがステージの1段目の真ん中に来ると、スペンサーとセネカがミナトさんの隣に並ぶ。


『君に伝えたいこと、たくさんあるけど』


 アコヤちゃんたちがステージ2段目の上手と下手に並び、その間にリーダーとミサキは段差を降りてステージ1段目の中心に来て、ミナトさんたちは両側に移動。


『うまく言葉にできないよ。 だから代わりに手を取り合って』


 隣同士、背中合わせになったリーダーとミサキが、観客席の方へ手を伸ばす。

 

『いっしょに輝く未来へと歩き出そう』

 

 見つめ合うリーダーとミサキ、ふたりに駆け寄るミナトさん。

 オープニングは、この3人が主人公であるとはっきり伝える構成になっている。

 ボクも、この舞台にすっかり心を奪われていた。


 そして、ミサキたちがステージから去るとき、リーダーとミサキはこっそり手を繋いでいたんだ。

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