第25話 どうやら魔導具マニアと出逢った様です。
その店の奥の方にはとんでも無いお宝が所狭しと並べられていた。生活魔導具が使える状態の物まである。恐らくはこの店主が復元したのだろう…大した技術だ。『シュワ』ちゃんの元になったメイドのオートマタまである。コレは動かない様だが…。
「こいつ等は古代シュメール人の居た当時の魔導具だ。色んな遺跡から掘り出したヤツを修理しているんだ」
「発掘したのを修理するのか…大したもんだよ。他人の作った魔導具を直すのが一番手間と労力が掛かるからね」
「ほう、流石に良く分かってるじゃないか。俺が見込んだ客だけの事は有るな」
「オレも魔導具作るから分かっちゃうんだよね」
「何?お前魔導具作ってるのか?ガキにしか見えねぇのに…お前いくつだ?」
「ボク7しゃい」
「嘘臭えな…」
「いやいやマジだから」
魔導具マニアにまで年齢詐称疑惑を持たれてショックだ。
色々と見る内にある事に気が付いた。ここにある魔導具ならば全部作れるなと。貴重な品ばかりだがオレの知識と技術なら全部作れてしまうのだ。
ちょっとがっかりした直後、ホコリを被ったある物が目に入る。帝国の宝物殿から失敬したアレと同じ…いや少し違うか…でも同じ種類の魔導具だ。
「これは…オレの持ってるヤツに似てるなあ」
「ホントか?ソイツは何か良く判らんのだが、もしかするとお前の持ってるヤツの”片割れ”かも知れんぞ」
「片割れ?…そうか!片割れか!それは気付かなかったよ!」
オヤジでかした!そうだコレは2つ合さって動くパーツだったんだ!だから幾ら復元しても単体では動かなかったのだ。オレはマジックポケットからもう片方を出して合わせて見ると完全に一体化したのだ。何だよ、ワイバーンの魔石を使った魔導具を2つ合わせて完成させた時に何故気付かなかったかなあ!アレの技術は完全にこの技術のフィードバックで作ってたのにさ!
「やったよ!コレで完成だよ!オッチャンナイス!」
「お、おう…しかしコレは何なんだ?」
「転送に関する魔導具だと思うのだけど…詳細は不明だね。何か取扱い説明書でも有れば…な〜んてね」
「取扱い説明書って…あ、アレがもしかすると…」
オヤジは奥の棚から銅版の様なものを持って来た。
「コイツはソレの発掘した近くで拾ったヤツだ…古代文字が読めないから判らんが…」
「どれどれ…フムフム…おお!コレだよ!」
何と説明が書いてある。やはり転送装置ね。これが2つセットで入口出口の様だ、つまりもう一個足りない訳だな。
この転送装置は建物から建物への移動や離れている仲間を呼び出したり、目的地から家に戻るのに使ったりと汎用の移動手段としてパーソナルに使われてた様だね。
何台かを接続して使う事も出来ると書いてあった。古代シュメール人は便利な生活魔導具を使った高度な生活をしていたのだね。
「やはりもう一つ足りないみたいだね」
「お前…古代文字が解読出来るのか?しかし残念だな、もう一個か」
「それならもう一つ作るから大丈夫だよ」
「はあ?作るだあ?」
「とにかくコレを売ってよ。そうしたらもう一つ復元するからさ」
「マジなのか?こりゃあとんでも無いガキだな!アハハハ!ソイツはお前にやるよ。復元したら見せに来てくれ!」
「ええ!良いの?」
「どうせ俺じゃあもう一つ復元するのは無理だしな。お前に預けた方が魔導具の為さ!」
「有難う!必ず見せに来るよ!でもそれじゃあ申し訳無いなぁ…あっそうだ!そのメイドのオートマタを修理するよ」
オレはオートマタを【金属使役魔法】を使って手直しする。会話の言語が違うのでセッティングし直す。オヤジはビックリしてる様だ。
「そ、それどうやってんだ??魔法か?」
「それは企業秘密だよ…ほら、此処の線が切れてるから動かないんだよ。線を元に戻せば…よし!修理完了!」
オートマタに少しだけ魔力を入れると動き出した。
「こりゃあ凄えな…まさか動くとわな」
「…ご主人様、何かお申し付け下さい」
「あ、ご主人はこの人ね。用はこちらに聞いて」
「おいおい…喋ってやがる…マジかよ…」
「メイドのオートマタは店番もやってくれるよ。ちゃんと教育してあげてね」
「こりゃあたまげた!かえって悪かったな。修理までして貰ってよ…そういやぁまだ名乗って無かったな、俺はゴードンだ宜しくな」
「オレはアレスだよ、宜しくね。またあの魔導具を復元したら必ず持って来るよ。楽しみにしててね」
「おう、楽しみに待ってるぜ」
ゴードンさんと出逢ったのも何かの縁なのだろうね。まさかあの転送装置を完成させれるなんて思っても見なかった。ゴードンさんはオレと同じ魔導具マニアの匂いがするよ。必ず復元して見せに来るからね。
一方、サテランティスは『シュワ』ちゃんとタマと甘味巡りをしていた。アレだけ買い込んでいたお菓子を全部食べ切ってしまったのだ。女子の別腹恐るべし…。そこでお菓子を買うのと食べ歩きをしていたのだ。
「『シュワ』ちゃん、我はあそこの店で食べたいのじゃ!」
「ノープロブレム」
「いらっしゃい!何になさいますか?」
「我はアイスを食べたいのじゃ」
「味は如何なさいますか?」
「う〜ん…沢山有って迷うのじゃ…」
「では、ミックスは如何でしょうか?」
「おお!その手があったのじゃ!」
とまあこんな感じで、現在5、6軒制覇中である。サテランティスは至福の時を迎えていた。その後、お腹を冷やし過ぎたサテランティスは腹痛とトイレで地獄を見る事になるのをまだ知らない。
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