第24話 どうやらワイバーンを退治した様です。
『レオクレータ』のギルドを出て直ぐにオレ達は北ルートで『コックスナル』を目指して出発した。
考えてたよりも通行量が多くて不思議に思ってたら、車輪がハマって往生していた商人を助けた時に、北ルートはコックスナルとレオクレータの遠距離輸送に良く使われると聞いた。なるほどそういう事か、遠距離輸送は北ルート、国内の短距離は南ルートって自然と別ルートになってたんだ。冒険者ギルドのお姉さんではそこまで詳しく無いんだね。
出発して6日目に突然ワイバーンの群れの襲撃を受けた。
オレは魔銃コルトを最低出力でワイバーンの頭や翼に撃ち込んで倒したり落としたりしている。
サテランティスは雷魔法でワイバーンの頭に直接落として倒す。
タマは空中を自在に走りながらオレ達の攻撃から逃げた奴に襲い掛かって倒している。
『シュワ』ちゃんは倒したワイバーンから魔石や爪や牙を収集して亡骸は一箇所に集めた。
計13匹程ブッ倒して2匹に逃げられた。それを見ていた商人がやって来て亡骸を譲って欲しいと言うので全部押し付けた。お金を払うと言ったが燃やすつもりだったから要らないと言うと、カルタス商会の者で名前はリオールと言いますので、王国に来た際には是非寄ってくれと言うのでびっくりした。
「何と!あのランカスター家の坊っちゃんで!!」
「一応、秘密裏に来てますので…」
「もちろん、他言は致しませんので御安心下さい!いやあ、それにしてもワイバーンをいとも簡単に落とすとは…流石です!」
「カルタスさんにはお世話になってますからね、ワイバーンくらいで喜んで貰えるなら安いもんです」
「と、と、とんでも無い!お世話になってるのはウチの方ですよ!それにワイバーンの肉は超高級品で良い値段で取引されるので…これだけの量ならかなりの金貨が動きますよ」
「へぇ~そうなんだ、知らなかったなあ。まあ、カルタスさんトコが儲かるなら大きな意味でウチの儲けみたいな物だよ」
「はぁ…カルタスにも聞いてますけど、坊っちゃんはホントに7歳とは思えないですねぇ…」
何とカルタスさんトコの人にまでオレの年齢詐称疑惑が語られていたとわ…。
取り敢えずリオールさんに全部お任せでワイバーンは引取って貰った。美味いから食べて下さいと肉を少しだけ分けてくれた。爪も欲しいと言ったので半分を牙と一緒に分けてあげた。魔石はこちらで必要なので全部引き取った。爪と牙のお金を払うと頑固に言い張ったが、リオールさんのお小遣いにでもしてねと受け取らず、急ぐからとそのままリオールさんと逃げる様に別れたのである。
その後、1週間程走り続けると目の前に大きな湖が見えてきた。この湖は『ロモラモ湖』と呼ばれ、先住民族の言葉で『大きな魚』を意味するという。何でも此処には”主”と呼ばれる大きな魚が居ると言う伝説があり、実際に見た者も居るとか…マジなのか?
サテランティスはこんなに大きい湖は見た事がないと言うので、少しだけ湖畔で昼食にする事にした。オレも琵琶湖以来だな…この世界ではもちろん初めてだ。
「大きな湖だのう!初めて見るぞ!」
「サテランティスは海も見た事無いか?」
「海??何じゃそれは?」
「大陸の周りにある水溜まりだよ。大陸よりずっと広いんだよ。海の水は塩辛いんだ」
「ココより大きいのか??見てみたいのう」
「マイケル兄さんの領地も開発が進めば海まで出るからね。そうすれば海は見れるぞ」
「本当か??それは楽しみじゃのう」
昼食は少しだけワイバーンの肉を分けてもらったのを焼いて、コーンスープとパンを添えてみた。
「この肉は美味いのう!!」
「ホントだ!もう少し貰えば良かった…しくじったぜ…」
「ニャア〜」
タマもワイバーンの肉は好みだった様だ。前は肉どころか食い物は食べなかったのによ…マジで凹んだぜ…。次にワイバーンに出逢ったら肉も残らず頂くぜ!
ところでこの湖には”とある秘密”が隠されていて、何れその秘密に巻き込まれるのだが、それは後のお話である。
それからワイバーンの襲撃も無いままに2週間が経った。オレはその間にワイバーンの魔石を使って魔導具を作っていた。
もしかすると必要になるかもと【禁書】の『サイレントキラー』を発動する魔導具を作っていたのだ。
オレの想定する相手に効くのかは分からないが、オレに出来る事はこの位しか無いからね。
『タマダ弐号』の場合は魔人の魔石を使ったが、今回はワイバーンの魔石を6つ使って出力を稼ぐ。実は6つでも魔人の魔石の出力には遠く及ばないのだが、この魔導具を2つ作り、それを上下に合わせる事で増幅させて出力を稼いだ。
結構な大きさになってるのは仕方無いよね…マジックポケットから出すだけだし何とかなるでしょ。
そして4日後、ようやく目的地である『コックスナル』に到着したのである。
『コックスナル』は【トルキュトス=レーム連合王国】の主要都市で大陸でも有数の交易都市である。そして非常に珍しい商人達の代表者達に依る合議制で街を治めている商人自治都市なのである。
この街では商売の才覚と金が全てであり、商人達が大金を生み出す事で高度な自治を保っている。国王と言えどもこの街の自治にはアンタッチャブルである。それは黙って居ればこの”金のなる木”は永遠に巨額の富を落とし続けるからだ。
この街では手に入らない物は無いと言われる程に商品が豊富で有る。魔導具も沢山売られているので、一日だけ魔導具街に立ち寄らせて貰ったのだ。
思ってたよりも沢山のお店があって一日じゃ周り切れないかな。でも、出来るだけ周ろうと集中してると、一軒の小さな店が目に入った。
この店は新品では無く、古い時代の魔導具のガラクタが売られてる店だった。オレは店前のガラクタが無造作に入れられた箱の中身を調べた。殆どはガラクタだったが一つだけ腕輪型の魔導具だが、何故か周りが石なのか何か硬い物で覆われているが、中身はミスリルとオリハルコンが使われている。
「すみませーん!!コレ下さーい」
すると奥から左眼に眼帯をした筋肉質のオヤジが出て来てこう言った。
「お前、良くそれを選んだな。良い目利きをしてる…奥の方にもっと良い品が有るぜ。見て行きな」
「これは売り物じゃ無いの?」
「ソイツは客かどうかを判別する品だ。売り物じゃねぇよ。因みに何でそいつを選んだ?」
「腕輪の外側はミスリルだし、中身はオリハルコンも使われてるからね」
「なっ!…オリハルコンも判ったのかよ。真面目に凄えぜ…タダのガキじゃねえな。さあ、奥の方に来い。ウチの客として迎えるよ」
てな訳で怪しさ満点だが、もしかするととんでも無い店を見付けたかも知れない。オレはスキップしながら店の奥に入って行った。
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