第23話 どうやらギルドで絡まれた様です。

エリオット兄さんのお陰で国境の街『レオクレータ』に入る事が出来たオレ達は、必要物資を買う為に街に出る事になった。

先ずは食料品だね。もう持って来ていたのが半分になったので買い増し。マジックポケットに入れ込むから鮮度は関係無い。途中屋台が沢山有ったので少しだけ立ち寄った。

もちろん、サテランティスは屋台が初めてなのでテンション高めである。


「アレス、有れば何じゃ??」


「ん?何かの肉の串焼きだな。食うか?」


「食べたいのじゃ!」


「ニャア!」


「タマもね。じゃあ三本ね!!」


「アイヨ!毎度!!」


暫く歩くと、


「アレは何じゃ?」


「クレープかな?甘いやつ」


「食べたいのじゃ!」


「じゃあそれ一つね」


「ありかとぉ〜」


まあ、こんな感じで結構色んな物を食ってたな。サテランティスと帰って来る…かどうか分からないが、もし、一緒に帰って来るのならゆっくりと色々な街に立ち寄って帰ろうと思う。一人ならお土産買ったらダッシュで帰るね。


後は衣類だけどサテランティスが欲しがったのだけだな。そういうトコはやっぱり女の子だよな。オレはあまり関心も無いので…。南方は暑いと聞いてるから向こうで買えば良いかな。


あと、サテランティスはお菓子を大量に買い込んだ。おいおい…そんなにホントに食べれるのか?…。


『レオクレータ』の街は国境で壁で線引きされた街で関所みたいのが一箇所有り、そこを通れば【トルキュトス=レーム連合王国】である。オレ達はDランク冒険者の『シュワ』ちゃんのお陰で難なく関所を抜けた。


こちら側の街は意外と質素である。店も少なめだし。後から来た商人さんに話を聞くとこちら側の税金が高いので向こうに逃げられちゃうらしい。ナルホドね…やっぱり税金が重いか軽いかは民衆にとって重要な事なんだと改めて感じたな。


『レオクレータ』の街を抜ける前に冒険者ギルドに立ち寄る。コチラ側にはもう一箇所あるからだ。ココで詳しい地図など情報を貰うのだ。


「いらっしゃいませ。依頼の受注ですか?ご登録ですか?」


「王国から来たので詳しい地図や情報が欲しい」


そう言うと『シュワ』ちゃんはギルド証を見せる。


「Dランクですか!今地図をお持ちしますので少々お待ち下さい」


受付のお姉さんが奥の方に入って行く。お姉さんが地図を持って来てくれた様だ。


「此処から最短ルートで【ナバダット連邦国】の霊峰『チモリヤ』に行く最短ルートを教えて欲しい」


「おや、珍しい場所に行かれるのですね。そうですねぇ…やはり『コックスナル』から向こうの『タツナミ』に入るこの経路が一番ですね。『コックスナル』までは北経路と南経路が有りますけど距離的には同じ位ですからどちらでも問題無いですね」


「有難う」


「ご無事に目的地に着ける様にお祈りしております」


やはり前に聞いていたのと変わらない感じである。『コックスナル』経由で『タツナミ』のラインは変わらない。後は北か南か…デカい街を経由するなら南ルートだけど…オレ達は北ルートだなあ24時間走るからね〜。


ルートの話をしてると変なのが絡んで来た。


「へっ、ガキ連れて冒険者だとよ!」


「楽な冒険者稼業だな!ヒャハハ!」


ちょっとムカついたのでお仕置きしてやろうとそいつ等の所に行く。


「へぇ~おじさん達パパより強いの〜?」


「ガキ!オレ達はCクラスなんだぞ!」


「ふ〜ん。でも武器はなまくら使ってるんだね〜貧乏なの?試してみようか?」


「何言ってやがるクソガキが!コイツはミスリル製の新しい剣だ!ガキに何が分かる!?」


「分かるよ〜。ミスリルより鉄の方が多い紛い物くらい。じゃあなまくらか試すね。この鋼糸でね」


オレは鋼糸で剣を鞘ごと取り上げてバラバラにしてやった。


「ほら、なまくらでしょ?」


「て、テメ…うっ!」


オレはそいつの全身に鋼糸を巻き付けて少しだけ絞める。鎧は脆くもバラバラだ。


「こっちも紛い物だあ!!びっくりだ〜ね〜」


「な、何ぃ…そ、そんな馬鹿な…」


「次は手と足と首のどれをバラバラにしようかな〜?」


「あ〜アレス!ズルイのだ!我にもやらせるのじゃ!」


「ニャアニャア!!」


サテランティスとタマが抗議の声を上げる。


「ダ〜メッ!チミ等は手加減出来ないでしょ!!」


「うっ…」


「…ニャン…」


チミたちがやるとギルドの建物壊れちゃうよ。マジそれはヤバいからね。


「ちょっ、勘弁してくれ…」


「そう、それじゃあ『ごめんなさい、もうしません』は?」


「て、テメ…」


「パパが、悪い事したらこう謝れって『ごめんなさい、もうしません』は?」


鋼糸に力を入れてやる。結構キツ目に。


「ご、ごめんなさい…も、もうしません…」


オレはソイツの耳元で


(相手の力量も計れないカスが調子こいてんじゃねぇよ…オレに勝ちてぇなら魔人倒すくらいになってからにしな)


と言ってやると脂汗をダラダラ垂らしながらウンウン頷いていた。

何処にでもアホは居るんだなあと思いながら、鋼糸の拘束を解くと、オレはバラバラにした剣と鎧を【金属使役魔法】で元通りにしてやる。いや、元よりもかなり良くしてやった。

するとCランクとそのツレは口を開けたままびっくりしている。


「鞘は直せないから新しいの買ってね〜」


と俺が言ってやると『シュワ』ちゃんが最後に親指を立てながら、


「地獄で会おうぜ!ベイベー!」


と言い残してオレ達はギルドを去っていった。取り敢えず北ルートで行く事にしようかな。


その後、この冒険者は人を小馬鹿にする事も無くなり、仕事を一生懸命する様になり、ここのギルドのAランカーとしてギルドの皆から頼りにされる存在となるのだが…それはまた別のお話。

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