第20話 どうやら旅の準備が整った様です。
朝、起きてきたサテランティスに声を掛けたのはマイケル兄さんだった。兄さんには話して置いたけど4日間も無断で留守にしたのだからね。
「サテランティス、気持ちは分かるけど無断で出て行ったのは良くないよ。分かるよね?」
サテランティスは無言でコクリと頭を下げた。
「僕達はね、君が魔女族の人達と会えるように全力を尽くすから、僕達を信頼して欲しいんだ。だからもう黙って出て行く様な事はしないでね」
「…分かったのじゃ…」
「よし、じゃあ朝ごはんを食べよう。頂きます」
マイケル兄さんは本当に優しい。サテランティスが出て行った後もホントに心配してた。オレはタマが付いてるから大丈夫だと思ってたし、やる事が沢山有ったのだ。
先ずは国境を越える為の準備だ。家の家名を使うとなると、行動を制限される為に出来ない。となると冒険者になるのが一番なのだけど冒険者になるには12歳から専門学校に入るか15歳になってから登録するしかない。
色んな人が忘れてるかもだけどオレはまだ7歳だからね!年齢不詳と言われてるけどね!サテランティスも見たくれは5歳くらい。だから冒険者にもなれない。
となると…冒険者を雇うか、なのだけど生憎とその様な知り合いも居ないしね。
そうなると『冒険者を仕立てる』しかない。
つまりはオートマタで精密な人間を造るしか無いのだ。二足歩行の『よっこい正吉』の技術をフィードバックして『人造人間』を造るのだ。コレを冒険者登録させて俺達は連れとして一緒に行動すれば?と考えたのだ。
オレの【魔導具の書】にメイドのオートマタを造る技術があり、其れを元に『よっこい正吉』は造られている。其れをフィードバックした冒険者風のオートマタを製作するのだ。
人間の体温や皮膚の質感、毛髪や体毛まで精密に…
出来る訳ねーだろ!!
物凄い時間を掛ければ出来るかも知れないけど、そこ迄やる必要性が無いだろ。
そんなの魔法使って誤魔化すんだよ。国境越えの為のダミー君だし、なんちゃって冒険者風なら良い訳だしな。ギルド発行の証明書さえ貰えれば大丈夫たからね。
取り敢えず馬車の運転くらいは出来る様にするけどな。どっちかって言うとオレがオートマタを守る感じになるぞ。
宿屋に泊まるのは極力避ける予定なので馬車の荷室に結界を張って、普通の家位の広さを確保する空間魔法の魔法陣を入れ込む予定。
移動時の馬車も心地良くしなけれはならない。
また、どのルートで行くのが一番早く安全に行けるかも調べないと。カルタスさんなら商人だし知ってるかもだね。
ホントに忙しい、やる事が多過ぎなのだ。まあまあ退屈しなくて良いけどね!
オートマタを製作しているとサテランティスがおどおどした様にやって来る。
「アレス…悪かったのじゃ…」
「オレの言ってた事が分かったかい?」
「…うむ…お主の言う通りだったのじゃ…」
「なら、出発するまでの間にサテランティスも強くならないとな。修業有るのみだ」
「うむ、我は弱い…もっと強くなりたいのじゃ」
「んじゃ、タマと狩りの修業な」
「へっ?」
「タマ〜後よろしくね〜」
「ニャア〜」
「た、タマ。よろしくなのじゃ」
うん、素直で宜しい。タマとの狩りによるフットワークや獲物に対する相対し方など学ぶ事は多い。タマは自分の力の使い方を良く知っているので、サテランティスも自分の力の使い方を学べたら良いと思う。素質は間違いなく凄い物があるからね。
オートマタの製作中に色々とアイディアが出て来て悩んだが、やはり作製の早さを優先する事にした。やはり早く出発したいもんね。但し、一つだけ取り入れたのは、オレのマジックポケットとオートマタのマジックポケットを繋げる事である。これはもっと早く思い付いてれば良かったよ。『タマダ弐号』や『蜂影』と繋げれば面白い使い方が出来そうである。
そして時間が掛かったがようやく冒険者風オートマタが完成である。剣術と風魔法を操る様に調整している。言語機能はかなり力を入れた自信作。骨格はミスリル製で鋼を装甲に使っている。骨格だけでも動くのはター○ネーターを意識したからかな。魔導炉は小型化した物を装着してるので魔法の力は弱い。『ミラー』の魔法陣を組み込んでるので防御力は意外と強い。剣術はスピード重視の二刀流としたが、そもそものパワーが強いから結構な腕前である。
なお、勘の良い人なら分かると思うけど、名前は『シュワ』ちゃんである。
次は馬車の改造である。
馬に引かせる為に基本は木製になる。と言うか外観は全く変えない。中身を変える。
幌内に空間魔法の結界を魔法陣に入れ込むのと同時にその裏側に重力魔法の術式を入れて若干浮く様にすると下からの振動を受けない。空間魔法で中を2LDKエアコン、トイレ、風呂付きにして部屋も別に作る。殆ど動く2LDKってトコだが長旅で宿にも泊まらない方向だとこの様にならざる負えない。馬を操る『シュワ』ちゃんだけは振動がガンガン突き上げるのだが、サブトン付けるから我慢してもらおう。
外側にはお馴染み『ミラー』の術式が組み込まれているので突然の攻撃にも対処出来る訳だ。後は馬を用意すればオッケーだな。ってな考えも結局は変更を余儀無くされるんだけどさ…。
カルタスさんと久しぶりに会って『チモリヤ』への道順を詳しく聞く。やはり最短距離は街道を使うのが一番の様だ。キチンと地図で確認してから向かう様にしよう。
シュワちゃんの仕上げで相手に人間と認識させる【古代魔法】の『フェイク』を術式に入れてる最中に『シュワ』ちゃんは24時間戦える身体だけど、馬はそうはいかないよなぁって思い付いて、結局は馬も24時間戦えるヤツが良くね?って事でアイアンホースを作る事にした。オートマタなら1頭居れば充分だしね。早速、骨格は鋼で外装はアルミ製にした。骨格はミスリルでも良いのだけど故障した時に作り直ししやすいので鋼にした。
アルミはカルタス商会にボーキサイトを探させた。あるかどうかは不安だったが意外と簡単に見つかった。ゴミ扱いされていた様で邪魔だから幾らでも持って行ってくれとゴミ回収の名目で契約したらしい。
オレが取り出すしか無いので大きな商売にはならないけど、もう何トンかは精製済みなのだ。
魔導炉を備え、魔法陣で馬に見える様に認識させる。やはり馬と言えばラ○ウのお手馬が頭に浮かぶね。取り敢えず馬の色は黒く見える様に認識させる。ホントは銀色だけどね…。
馬力は凄いよ、だから馬車の方も強化しないとアカンな。って事でアルミの車輪と鋼の軸でなるべく軽量化するけど、剛性は保ちたいから穴開けで対処かな。
しかし、コレなら最初から作れば良かった…っうか馬無しで自動車を作れば良かった…認識阻害だけくっつけてさ。
色々と試行錯誤しながら完成に近づく頃に先乗りしている隠密忍者『蜂影』先生の情報が届いたのだ。
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