第18話 どうやらエルフの村長と話す様です。

『蜂影』は隠密行動を取りなから樹海を進む。リッカさんが「ここら辺が臭い」ってトコに向かっている。


「へぇ~何か凄いね…こんな事出来るのかあ」


「『よっこい正吉』でも改造すれば出来ますよ。リッカさんは店に居て薬草採りを任せるとか」


「う〜ん…私は一緒に採取してた方が良いかなぁ。匂いとかも大事だし」


「あ〜ナルホドね。じゃあ正吉にも匂いセンサー着けるかな」


「あっ、そうね!それお願いね」


「了解っす」


一方のサテランティスは画面に釘づけである。まあ、この世界の人々はテレビもゲームもやったこと無いからこう言うのに食い付くのも分からなくも無い。

途中でどう考えてもヤバそうな魔物とかを華麗にスルーしながら『蜂影』は進んで行く。ヤバそうな魔物が出る度にタマが興味深々で観て居た。今からでも戦いに行きそうな感じ…タマって意外と武闘派だからね。やっぱり超魔道生物の血が騒ぐのかしら?


「そろそろね」


「そうみたいですね。『蜂影』、結界センサーでカメラを見やすく切り替えて」


『蜂影』はカメラを切り替える。すると結界の張られた場所の色が網目模様に変わっている。


「コレだな…さて、エルフの古代魔法に勝てるかな?『蜂影』先生、『ウォールスルー』発動!突っ込んでみて!」


すると『蜂影』は【禁書】の『ウォールスルー』を発動して結界に突っ込むと何事も無く通れてしまった。


「う、ウソでしょ…エルフの結界を破るでも無く素通りとか…」


「ウチの先生は腕は確かなんで…さあ、村が見えますよ」


「うわぁ!…コレがエルフの村なのか?のどかそうで良い村じゃのう!」


「あら、結構大きいわね。ウチの村より全然都会じゃないの」


「村というか町に近いですね…商店街も有るなあ」


樹海のエルフ村はかなり大きい規模だった。エルフの人数も300人は居るんじゃ無いだろうか?一族郎党でと言うよりはもっと違う感じがするなぁ。商店街は武具屋、食料品、衣類等々…活気も有るなあ。

他の種族は居ない様だからエルフ以外との交流は無さそうだ。宿屋は有るから他のエルフ村とは交流してるのかもね。

村長っぽいのが居る建物に侵入するとかなりの年齢に見えるエルフが座っていた。


「このエルフが村長さんかな?この方なら色々と知ってそうですね」


「そうね…でも会ってくれるかしら…私が行っても良いのだけど、入れて貰えるかどうか…」


「いやいや、ここまで来るのが危険ですよ。オレとサテランティスとタマで行きましょう」


「大丈夫なの?結構エグいのが居たけど…」


「流石に迂回して行きますよ。まあ、サテランティスもタマも強いから平気ですよ」


「我は平気なのじゃ」


「ニャア〜」


「タマはやる気満々の様だけど、今回はダメだからね」


変にちょっかい出してエルフの村に迷惑掛けてもイケないからね。それにエルフに警戒されるのは避けたいし。


早速オレたちはエルフの村に向かう事になった。樹海の外側を通り、魔物を避けたりしながらエルフの結界の前まで来た。


「エルフさん!中に入れて下さい!!」


オレは無理だろうなあと思いながらもデカい声でエルフに許可を取ろうとする。ビックリしてるだろうけど、オレたちがそこにエルフの村が在るのを知ってるぞとエルフ達に認識させる事が重要だからだ。

案の定、何の反応も無い。まあ、ここまでは想定内なので次の作戦に移行する。

オレは指輪に【禁書】の『ウォールスルー』の術式をいれ込んで結界を素通りする。


「返事無いんで勝手に入りま〜す」


タマは俺の肩の上、サテランティスは手を繋いで結界を素通りした。中に入るとエルフ達がビックリしている。オレはニコニコと笑顔で「こんにちわ!」と挨拶しながらズカズカと村長の家に向おうとする。ココで流石に警備っぽいのが矢を番えて警告する。


「貴様!どうやって結界を通り抜けたのだ!!」


「それは企業秘密って事で…」


「何を訳の分からない事を!去れ!去らないと…」


するとサテランティスが物凄い魔力を出しながらエルフ達に言った。


「ほう…エルフは人の話も聞かずに矢を番えるのか?やるなら我も手加減せぬ…」


「コレッ!止めなさい!」


とサテランティスの頭にゲンコツを入れる。


「痛っ!何をするのじゃ!」


「魔女の国の事を聞くのだろ?そんな喧嘩腰でどーする!」


「だって…向こうが…ブツブツ…」


サテランティスが頭を押さえて文句を言ってると、向こうから村長さんがやった来た。


「警戒を解きなさい…坊やは前から樹海で修業してる子だね。とにかく此方にいらっしゃい。話を聞こう」


「有難う御座います。感謝致します」


村長さんがオレたちを家まで連れて行ってくれた。警戒はされてる様だが、村長さんの許可が出てるので手は出さない様だね。


「ワシはこの村の長でテラーだ」


「オレはアレスでこっちは相棒のタマ。そっちは魔女族のサテランティスです」


「ほう…魔女族とな。して何をしに参った?」


「突然やって来て驚かせた事を先ずはお詫びします。今回やって来たのは昔ここに在った『魔女の国』についての情報と魔女族の行方を探す手掛かりを求めてやって来ました。何卒お力をお借りしたいのです」


「なるほど…魔女の国か。確かに魔女の国はこの樹海一帯に在った国じゃ。だが五百年前の『魔大戦』の際に魔族にいち早く攻撃を受けて国は滅ぼされた。生き残りの魔女族は勇者達が助けて南東の霊峰『チモリヤ』に移り住んだと言われておる」


「『チモリヤ』に移り住んだ魔女族の人はその後にココを訪ねなかったのでしょうか?」


「ワシらが此処に居を構えてから450年は経つが見た事が無いのう…」


「うーん…どうも何か引っ掛かるなぁ…」


「我が同胞は『チモリヤ』に居るのだろう?」


「だとしたら可怪しいんだ…何故サテランティスを迎えに来なかったのか…何故魔女族はその後姿を消したのか…」


「うむ、言われてみると奇妙な話しじゃな。確かにその後に魔女族を見た話しは聞かぬ」


「魔女族は自らの意思で『チモリヤ』に行ったのか?それとも連れて行かれたのか?で、だいぶ話が違って来ますね…」


「そうじゃな…とにかく手掛かりは『チモリヤ』に有るだろう…それが望まぬ結果であろうともじゃ」


「村長、本当に有難う御座いました。この先の目的地が分かりました。感謝します」


「我も礼を言う。感謝なのじゃ」


「うむ。同胞に逢えると良いのう。祈っておるぞ」


「あっ、それと村長、ウチの村に居るエルフのリッカさんは薬作りの名人です。もし良ければ村に入れて上げて下さい」


「おお、存じておる。一度挨拶に来なさいと伝えておいてくれ」


「有難う御座います。リッカさん喜ぶと思います。あっ、それと本日のお詫にコレを…ウチの鍛冶屋の親方が作った弓です。お納めください」


ギッデ親方の作ったミスリルの弓である。剣を良かったけどエルフは弓だよね〜って事で持って来てたんだ。


「コレは…素晴らしい出来だ…ドワーフが来たと聞いてたが、その者の作か?」


「はい、ギッデ親方と言います。もし他にも何かあればリッカさん経由で取引は大丈夫ですよ。融通が利くので」


「それはありがたい。物々交換でも大丈夫かのう?」


「もちろんエルフの貴重な品なら…親方はお酒が好きなのでエルフの里のお酒なら喜ぶと思いますよ!」


これはイイ話だなぁ。エルフの里と交易出来たらウチの更なる利益になるよ。こういう縁は大事にしなくちゃね。

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