第11話 どうやらドワーフの鍛冶屋が来た様です。

マイケル兄さんの仮の屋敷を作る為に、建築工事用のオートマタを作り始める。流石に材料をミスリルにする訳にもいかないので、小型の魔導炉だけをミスリル製にして、後はオレの鋼の棒と町の皆から廃材の金属製品を有料で集めて回り、それを精製してオートマタの材料にした。出来上がる迄に1週間ほど掛かったが中々のオートマタが完成した。


「結構ごっついのが出来たね…」


「他にも色々建設するしこの位の物じゃないとね」


先ずはマイケル兄さんとオレの仮屋敷を作る。最初の建物は仮だし木材で作る。オートマタにイメージを伝えて後はお任せだ。


その間にマイケル兄さんはオレが加工済みのミスリルをカノーと王都まで売りに行き、必要な資材(特に鉄鋼石)を調達に向かった。


オレはその間に採掘用のオートマタをコチラはミスリルで作り出す。ミスリルは錆びないから採掘には適しているし、ミスリルを掘るからね。取り敢えず3日で2体作って採掘を始めさせる。

タマダ弐号は採掘したミスリル鉱石を頼んでなかったのに一生懸命に縦穴の方まで運んでくれた。気が利く良い奴だ、撫でてやった。


マイケル兄さんとカノーが戻る頃には仮の屋敷が完成していた。中々早いな。

内装は魔導具を使って灯りやコンロ、エアコン等々。風呂やトイレも魔導具を使用する。

マイケル兄さんは出来た平屋の屋敷がお気に入りの様で、コレで充分だとか言ってたけどもっと大きい屋敷を必ず建てるよ。


タマはオレが魔導具やオートマタを作ってる間、屋敷の皆んなの狩りを引き受けてくれていた。森の入り口までタマが狩った獲物を持って行き、屋敷の者が引き取りにいくのだ。屋敷の者はオレが獲物を置いてると思ってるみたい。タマはちっちゃいけど猪くらいは例の空中を走るヤツで器用に運んじゃうからね。パワーも有るんだよね、流石は超魔導生物だ。しかも可愛い。


次に倉庫と精製所を作らなきゃだ。倉庫を先に作らせて鉱石を貯める場所を建てる。その後は精製所だが両方共レンガ造りにしたいので、オートマタにはレンガ造りからやらせていく。少し時間が掛かりそうである。


オレは採掘したミスリルを運ぶ運送用のオートマタを製作してゆく。先ずは垂直洞窟の運送する為に下と上に魔法陣を張って上に運ぶ。近くであれば然程魔力は要らない。流石に倉庫まで魔法陣で転送させるとかなりの魔力が必要なので魔石だけじゃ難しいのだ。その為、倉庫まではオートマタを作って運ばせる。行って帰るをするので2台は必要だが、取り敢えず様子見で1台だけ作る。大量にミスリルを市場に流すと値崩れの可能性が有るし、調整しながら少しづつ採掘すれば長くミスリルで儲けられる。


その後、精製用の魔導具を作り上げておく。精製すれば、それを使って鍛冶屋が製品を作るからね。だから精製の純度が高い程良い物が出来るので高く売買される。オレの魔導具で精製すれば99.9%という途轍もない純度を叩き出すので正直ヤバい。まあ、オレがやれば100%なのだが、流石にそれを出すのはもっとヤバいのである。


エリオット兄さんは王都で魔法騎士団のコネを使って鍛冶屋を募集していたら、流れのドワーフの鍛冶屋がミスリルを打ちたいとやって来てくれると言うので、鍛冶屋の建物も急遽作る事になり、暫定的に倉庫の中に精製の魔導具を置いて使う様にした。


鍛冶屋の建物が出来上がる頃に最初のミスリル精製が始まった。その頃から森を少しづつ切り開きながら町を作り始めていった。


エリオット兄さんの紹介してくれたドワーフの人がやって来た。随分と急いで来てくれたんだなあ。有難う御座います。

あっ、建築用のオートマタを見てビックリしてるな…やはりアレはあまり見せない方が良いのかなあ。

ギッデさんは流れのドワーフ…って事は腕が一流って証だ。ドワーフは一人前になるまでは工房を離れない。工房から出て流れになってる時点で一流の腕前って何よりの証明だ。良い人を紹介してくれたよ。流石はエリオット兄さんだ!

ギッデさんに精製したミスリルを見せたらどうやって精製したのかと言うので、魔導具での精製ですと答えるとウーンと唸っていた。オレの魔法はなるべく人には見せないつもりなのでこれが限界ですよ。

取り敢えずミスリルは気に入ってくれたみたい。良かった、コレでミスリル製の品物が揃えられるぞ!!

カノーが手配した商人は来てくれるだろうし、後は農家かなあ…

移民してくれる人が沢山来てくれれは良いのだけどね。



◇◇◇◇


俺の名はギッデ。流れのドワーフの鍛冶屋だ。この地の王都に流れ着いて数ヶ月…大した仕事も無いし、良い鍛冶屋も居ない…そろそろ流れるか…と思っていた俺に妙な話が舞い込んだ。ミスリルを使った武具などを作らないか?と言う話だ。

この地でミスリルが採掘されるとは聞いた事が無かったぞ。

話を持ってきたのも王国騎士団では無くて王国の”魔法”騎士団の団員らしい。


「本当なのか?ミスリルを打てるってのは?」


「コレなんだが…どうだい?」


コイツは…トンデモねえ純度のミスリルだ!!こんなモン見せられたら行くしかねぇだろが!!久し振りに心が踊る様な高揚感だぜ。

とにかく急ぎでその場所に行ってみた…何だありゃ??あのデカいのはどうやって動いてんだ??


「あっ!鍛冶屋の方ですね!お待ちしてました!」


何だこのガキは?…アレが建物だって?随分と立派じゃねーかよ。えっ?ここの領主の弟??はぁ?アレを作っただと??

一体こいつ何なんだ??

えっ、向こうに居るあのガキが領主だと?…ここの地にはガキしか居ねぇのか!!


「このミスリルなんですが、どうですか?」


トンデモねえ…良いミスリルだ。えっ魔導具で精製だと??はぁ?オマエが作った??何言ってんだこいつは…アレ?マジなの?…し、仕方ねえな…俺が鍛冶屋をやってやんよ!ガ、ガキだけじゃ心配だからな!!

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