第9話 どうやらタマと屋敷で暮らす様です。

この魔人からはマジックバックと魔石のデカいヤツを手に入れた。

マジックバックの中身は魔力の回復薬と魔石だけしか入ってなかった。セコっ!

まあ、コイツからは魔剣…じゃあ無くなってるけど、オリハルコン製の『魔銃デリンジャー(仮)』を手に入れたからね。オリハルコンはミスリルの上位の金属で魔法を貯める事が出来る。魔剣となるには魔人の中でも魔王クラスのヤツが命と引き換えに魔力を込めたヤツなのだろう。


何かマジックバックばかり3つも手に入った。まあ、マジックバックは良い金にもなるし、誰かに上げてもいいよね。エリオット兄さんに上げたら役に立つかも。


しかし、魔人がこんな所までやって来るとは全く予想外だった。あんなのに城を明け渡してたら最悪だったろうな…魔導具や魔獣も作り放題だし、ヤバかったなマジで。

アイツは仲間が居なかったのだろうか?まあ、仲間が居たとすればとっくに襲って来てる筈だし…城も壊れてるからな。発掘調査は相当な時間が掛かるだろうし。しかしアイツはどうやってこの城の情報を得たのだろう?オレはタダの偶然だからな…恐らく死んでた冒険者はミスリルの事しか知らないだろうし。

取り敢えず、城は無くなった訳だしミスリルの事だけ考えよう。一応、コレからは洞窟の見張りはしなきゃだな。魔導具で監視でもするか…作り方も頭に入ってるからね。


「タマ、そろそろ屋敷に帰ろう。屋敷の人間には見つからない様にね」


「ニャ〜」


そのまま洞窟の上に戻る。

タマは空を走るように上に登ってしまった。羨ましい。

オレはミスリルの棒を一気に上に伸ばしてそのまま上に辿り着いた。


樹海を歩いているといつもより騒がしい。地下で爆発があったし、城の真上は陥没したかも知れないな。魔物にしたら良い迷惑だ。


騒がしい樹海を更に歩いているとオークの群れが移動していた。見つかると厄介だなぁと思ってたらタマが飛び出してオークをボコボコにしてる…タマは血の気が多いのか?

見てると一方的にオークをやっつけてるのでそのままタマの戦いぶりを見ていた。

30匹程のオークの群れは30分も掛からず全滅していた。流石は超魔導生物である。やはりタマにも戦闘生物としての本能みたいなのが有るのかな?蹂躙し終わるとオレの方に走って来た。


「ニャア〜」


「タマさんや、もう満足したかい?」


「ニャ〜」


どうやら満足した様ですね。

オレはオークの血に塗れたタマの身体を拭いてあげたけど、綺麗にならないから近くの小川に行く事にした。小川の水で拭こうとしたら、そのまま小川で泳ぎまくっていた。そか、数千年ぶりの水浴びだろうから楽しんだら良かろう。

その間にオレは食事の準備に入る。重ね重ね魔導キッチンを持ち帰れなかったのは痛恨の極みだ。だが小型の魔導コンロはゲットしてたので、捌いた兔肉を鋼のフライパンでソテーして行く。塩だけの味付けだが中々美味い。

食べ終わってもまだタマは泳ぎまくっている。仕方無いので少し瞑想に入る。魔力の回復を図る為だ。大分回復した頃にタマがようやく戻って来たので、綺麗なタオルで拭いてあげた。


屋敷の側まで来たら獲物を出さないといけない。鋼のソリに獲物を乗せて屋敷に引きずっていく。


「タマ、屋敷の人には見つからない様にね!」


「ニャ〜」


タマはひと鳴きすると段々と姿が薄くなっていく…光学迷彩か?凄えなタマ!!


屋敷の外に珍しくカノーが居たので声を掛ける。


「カノー、何かあったの?」


「アレス様!御無事でしたか!…少し地震がありましてね、樹海の方で大きな音もしたとかで心配していたのです」


「あ、ああ…アレね。うん、ちょっとビックリしたけど大丈夫だよ!」


うわ…城の爆発はココまで影響有ったのかよ…そりゃあカノーには心配掛けて悪い事したなあ。


「獲物も沢山獲ったから皆で食べよう!!」


「おお、流石はアレス様。今日もご馳走ですなぁ」


カノーは大の肉好きだからね。鹿も残しておいたから喜ぶと思ったよ。タマにも気付いてない様だね。


屋敷で食事が終わった後で部屋に戻るとタマが姿を表す。


「暫くは屋敷の人には内緒だからね。頼むよタマ」


「ニャ〜」


「しぃーーーっ」


「…」


流石にタマはどう見ても普通の猫には見えないもんなあ。まあ、姿も消せるし、魔導具とかも作ってタマの居場所を作ってみようかな。それに監視用の魔導具も要るからなあ。


オレは地下2階で掻き集めて来た魔導具を整理する事にした。


魔導コンロ(小):調理器具

魔導ライト :普通のライトと赤外線ライト

魔導時計 :誤差が修正される正確な時計

魔導レーダー :トラップと宝箱用

魔導水筒 :空気中の水分を集め水を作る

魔導結界 :3立方メートル位の結界を張る

魔導カメラ :警備用カメラ移動式

魔導薬製造器(小) :薬草を自動生成

魔導掃除機 :自走式

魔導マスク :あらゆる毒や麻痺ガスの浄化

魔導スコープ :遠距離、温度、暗視等

魔導スーツ :温度調整、快適、自動洗濯

魔導警棒 :中には電流装置

魔導ラ○トセーバー :魔力が刀のサーベル


魔導カメラは移動式なので洞窟用にピッタリかな。結構、ダンジョンや樹海に使えそうなモノが多いのかな。魔導結界は少しイジればタマの居場所を確保出来そうだ。この他に失敗作やガラクタみたいのが有るので材料取りも出来る。


先ずは魔導結界に光学迷彩の機能を付けて外からは見えない様にする。俺の部屋の半分程度に結界を張れる様に調節機能を付加する。

狭い部屋だが半分がタマの居場所になれば安心だ。防音効果も付加したのでもう鳴いても平気だぞ。


「タマ、結界の中なら安心して良いからね。鳴いても平気だよ」


「ニャア〜」


タマは椅子に座っているオレの膝の上で丸まっている。安心してリラックスモードの御様子である。


こうしてタマはオレと一緒に暮らす事になった。

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