第8話 どうやら魔人が襲って来た様です。

「ニャア〜!!」


タマは久し振りの身体が嬉しいのか、オレの肩に飛び乗ったり、其処らを駆け回ったりと動き回っている。可愛い。


タマダの話ではタマの魔力供給はあの六芒星のヒトデに触ったオレからしか貰えないらしい。理由は知らないとタマダは言ったが、オレには心当たりが有った。


超魔導生物は光、闇、風、火、水、土の力を持って…と記録されていた。つまり六体の超魔導生物はそれぞれの属性の魔力を外から供給してたに違いない。それはとんでも無い魔力のバワーだろうし、その強大な魔力が尽きない訳だからな、そりゃあ世界も滅ぶって…。


だから試作生物のタマには属性では無く、飼い主の魔力しか供給出来ない様に試作した訳だ。

それでもタマは凄い。

何故なら何千年も前に魔力供給が止まったにも関わらず、オレが触れたら直ぐに動き回ってるのだから。しかも大した魔力が奪われる訳でもない。燃費はかなり良い、排泄物もない、とてもエコな生物で有る。しかも可愛い。


取り敢えず地下4階はこれで終わり。地下3階に向かうとタマが急に走り出して何かを持って来た。


「ニャア〜」


「…何これ…??」


『コレハ、ココデツクラレタ、イジケンバックマックスデス』


オレの持ってるマジックバックより1周り小さいカバンだが…マックスが気になるな。


「結構入るのか?このバック?」


『ハイ、マックスナノデ、ムゲンニハイリマス』


「無限かよ!!」


『マックスデスカラ』


こりゃあ凄えのが手に入った。作り方は分かってるけど材料が結構ヤバいからな。ドラゴンの何たらとかやめて欲しいわ。マジで。

持って来たタマをヨシヨシと撫でてやると超嬉しそうである。可愛い。


地下2階はヤバイ魔導具祭りですよ。

トンデモナイお宝満載だしね。とにかく色々とマジックバックにぶん投げて行く。小さい物を中心に集めていった。生活用品が殆どの中で唯一と言うくらいに目立っていたのは魔導具のライトセーバー位かな。

魔導具のスーツは高性能なのだけど消費魔力が多過ぎだ。これでは使えないので改造しないとなあ。


そろそろデカい魔導具に手を付けようかと思ってた時に突然アラーム音が鳴り響いた。一体何??ビックリするわ!!


『シンニュウシャカクニン!コウゲキシマシタ!』


「人間か??」


『シンニュウシャハ、マジンノモヨウ』


「魔人だと??何で??」


『マジンハ、オートマタヲタオシテ、ウエニムカイマシタ』


「魔法陣動いてるのか??」


『ユカヲハカイシテ、ウエニムカイマシタ』


マジかよ…厄介過ぎるぜ。さて、如何するか…取り敢えず逃げる事が先決だが、この城を奪われるのはもっとヤバい。取り敢えず動力を切って城の無力化をしないと。


「タマダ!魔導炉を完全に切れ!あと城の外に出たい」


『ドウリョクセツダンスルト、ワタシモキノウテイシシマス。シンニュウシャヲハイジョデキナクナリマス』


「他に打つ手があるのか??」


『シロヲジバクスルノガ、サイゼンノイッテデス』


「それじゃあタマダは如何なるんだ??」


『ワタシハ、コノシロトイッシンドウタイデス。ハヤクシマショウ、ジカンガナイデス』


「お前を置いていけるか!動力源ならオレが何とかする!」


『ジバクニハ、ワタシガシロニイナイトデキマセン』


「じゃあ却下だ!!此処で魔人を迎え撃つぞ!」


『キョヒシマス。アレスサマ、タマヲヨロシクオネガイシマス』


「タマダ!!何を…」


オレとタマは魔法陣によって強制的に城の外の洞窟の先に転移された!

タマダの奴、オレたちを逃して自爆するつもりか??と思っていると物凄い音と爆風で吹き飛ばされた!


爆発の衝撃で城への洞窟の入り口は完全に塞がれてしまった…


(タマダのヤツめ…カッコつけやがって…)


短い間だったがオレの従者だったし、まだまだ一緒に居られると思ってた。

と、いきなり後ろの方で魔法陣が形成されて大きな魔力が具現化してゆく!


「いやあ…大変な目に遭いましたよ…まさか自爆するとはね…」


コイツが魔人か…こりゃヤバい魔力だな。腕は片方もげてやがるが、それでもオレの方が不利だな。


「あの城の価値が分からないのは子供だから仕方無いですけどねぇ…」


「そもそもお前がノコノコと入って来なきゃこんな事にはならなかったのだけどさあ。馬鹿なの?」


「おやおや、口の効き方も知らない様ですね。此処で叩き殺してあげましょう」


魔人はいきなり攻撃して来た!速い!

バックステップしたが、それでも攻撃を食らってしまった!が、ミスリルの膜で攻撃を受けながらミスリル鋼糸で切り裂いてゆく!魔人の腕がポトリと落ちる。そこを間髪入れずに鋼糸を振るうが避けられた。


「ほう…タダの餓鬼では無さそうてすね…それでは少し本気を出しましょう」


オレはミスリルを棒状に戻してからタコ足の様に突き出した!が手前で攻撃は防がれた。魔法障壁でも張ったのか。

ニヤリと笑った魔人が斬られた手を生やして剣を召喚した。その剣からは物凄い魔力が噴き出している。


「魔剣ラムナス…このオリハルコンの魔剣はミスリル如きでは防げぬぞ。」


オレはミスリルを身に纏い、マジックバックから魔導具を取り出した。持って魔力を入れるとスーッと光の剣が伸びる。


「ジェダ○の騎士のみ操れるコレこそがラ○トセーバーだ!」


「…何を言ってるか分からんが、そんな玩具で何が出来る!」


「ふん!ス○ーウォーズも知らん様な素人に俺が負けるか!来い!!」


魔人は魔剣で斬り掛かって来たがラ○トセーバーに防がれる。中々使えるじゃないか!などと思っていると剣速が上がっていき防戦一方になってしまう。不気味な笑みを浮かべながら防戦一方のオレに語り掛けて来る。


「どうした?小僧?その程度か?」


「ふん!それはこちらの台詞だ!何が魔剣だ?コチラはかすり傷も無いぞ!なまくらか?」


「キサマ…殺してやる」


魔人が”やっと”力技で剣を強引に押し込んで来る。オレはニヤリと笑ってその魔剣の剣先を掴んだ。ビリビリと痺れるが構わずに叫ぶ。


「平伏せ!魔剣ラムナス!!」


「キサマ!!何を…!!」


やっと剣に触れたのだ。相手が魔剣だろうが「金属」ならば使役すれば良いだけだ。魔剣ラムナスは剣の形状から小さな手に収まる拳銃になる…デリンジャーって奴ですよ。


「いい夢見ろよ!アバヨ!」


拳銃からオリハルコンの弾丸が魔人の胸に当たり爆発した。が魔人は構わずに魔力の全てで具現化した爪で襲いかかる!!その時オレの魔力をごっそり持っていかれ、そのまま倒れた後ろからタマの巨大な爪が魔人を引き裂いてぶっ倒した!!


「…ば、馬鹿な…こんな…ガキと…猫如きに…」


魔人はそのまま動かなくなった。倒れたオレの顔をタマが舐めると魔力が少し戻されて来た。


「アハハ!、タマ!やりやがったな!良いとこ持って行きやがって!コニャロ!」


「ニャア〜」


オレはタマを精一杯撫でてやった。まあギリギリの勝利だったわ…魔人が思ってたより馬鹿で助かったぜ。アイツの本気が魔剣ラムナスでオリハルコン製だと馬鹿が自白した時に勝ちは確信していた。切り札が「金属」ならオレの【金属使役魔法】で奪い取れるのだから…。


(タマダには悪い事しちまったな…タマの事はオレに任しとけ!男と男の約束だ!)


…そういやあさ、タマダって男だったっけ??てか魔導キッチンを持って来れなかったのは一生の不覚だったなぁ…などと考えながらも、ひたすらお腹を出しているタマを撫で回していたのであった。

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