第5話 どうやら洞窟探検する様です。

洞窟は樹海の更に奥にあった。

途中で何かデカい魔物に出会ったが、ミスリルの事しか頭に無いオレはイキナリ攻撃して斬り刻んでやった。

○斗水鳥拳の正統伝承者たるオレの前に立ち塞がる事自体が罪なのだ!この愚か者めが!…オレは馬鹿かも知れない。


洞窟は垂直方向に伸びていて100m程降りる様に見えた。オレは鋼の棒を下まで伸ばしてスルスルと下まで降りた。伸縮自在の如意棒みたいだな。

下まで降りると横に延びている洞窟が有った。オレはマジックバックから魔導ランタンを取り出して使用する。その一つを進んでしばらくするとミスリルの鉱石がはみ出している。早速ミスリルを使役して精製すると真横の岩盤が10m位ゴッソリと崩れ落ちた。奥にもまだミスリルの鉱石が有ったのでどんどん使役して行く。

何だかんだと使役しまくって80kgほどの純度100%ミスリルの棒が出来上がった。


更に奥に行くとラーミアの巣が有って行く手を阻む。ミスリルに目が眩んだオレはミスリル鋼糸を使ってラーミアを斬り刻んで行く。

気付いた時にはラーミアの血の海である。ちょっとやり過ぎたな。

後で色々と不味いので大きい穴を掘ってラーミアの肉片を入れて行く。片付いたらそのまま埋めた。放っとくと匂いとか病原体とかヤバいからね。


奥に行くとまだまだ鉱脈が広がっており、ガチで結構な量だぞと…何でこんなもんが今まで放っとかれてたのか?


父は王都からこの地に追いやられた経緯が有る。その為にあまり自分の地領に愛着が無い。だから地領の内政はこの15年カノーに任せ切りで自分は戦で功を上げる事ばかりに専念している。父がこの地に入ってから開拓に関しては殆ど手付かずの状況だ。それでも優秀なカノーが町の立て直しで商業が盛んになったからウチは潤っているのだ。もし、マイケル兄さんがこの地に赴任してたらとっくにこの鉱脈を発見してとんでも無い鉱業都市になってたろう。


とにかくこの事は当面オレの秘密にする。洞窟の最深部まで行ってみたいし、他の二つの洞窟も調べたいからね。その上でミスリルをソコソコ頂いたらマイケル兄さんにでも相談しよう。エリオット兄さんは騎士団の団員だしあまりこういう話は得意では無い。適材適所ってヤツだね。


しかし、ミスリルってのはホントに凄い。魔力の通りがスムーズなので色々な事が楽に出来る。簡単に言うと今まで鋼の棒でやってた事をミスリルの棒でやると4分の1位の魔力で出来てしまうのである。しかも軽くて硬いから武具には最高の素材と言う訳だ。正直良い事しかない。


オレが使う棒は長さと太さを調整してるが、それは素材の密度を変えて圧縮する事で調整しているのだ。だから伸縮自在に出来る訳だ。コレを可能にするには質量が必要であるから当然重くなる。だから重さに耐えられる様、最初に30kgの鋼の棒を振り回していたのだ。今は鋼の棒は100kgを超えている。それを自由自在に操るには魔力による身体強化が不可欠で有るので、魔力切れは最悪の事態を招くのだ。それをミスリルに変えれば魔力の消費がかなり抑えられるので、オレの使い方にはピッタリなのだ。


今日はこの位にしておこう。良く考えたら夕飯の獲物をまだ獲ってない。オーガは食えないし、ラーミアも埋めちゃったしね。

そうだ、ミスリルの使い勝手を試そう。狩りで使うのも練習の一つだよね…


えっと…結論から言うと兎やら猪、鹿と大蛇など色々と狩り過ぎてヤバい事になった。ミスリルの使い勝手が良過ぎてマジでヤバい。持ち歩きはマジックバックのお陰で凄く楽になったのだが、結構入るので調子に乗って狩ってたら量がヤバい事になってた。

結局、半分だけを渡して残りは明日渡す事にした。マジックバックなら腐らないからね。


今日の食事はエラい豪華だったよ。まるで貴族の食卓…ってかオレは一応貴族だったよ…。


次の日もミスリルの使役に没頭した。奥の鉱脈は途轍もない量だったので一部だけ精製して後はそのまま残す事にした。これは将来、兄さん姉さん達の財産として残す分だ。父と母には絶対にくれてやるつもりは無いので、しばらくは放置だな。

その後、奥まで入ったけど魔物も居ないし、その内に行き止まりになってしまった。鉱脈は更に続いてる様なので掘り進めるしか無いだろう。

取り敢えずオレの取り分は棒も入れて300kgくらいだ。鉱脈自体は数百万tはあるから数十万トン単位のミスリルは採れる計算になるし、この位は貰ってもバチは当たらないと思うよ。一応暫定発見者だしね(本物は死んでるからね)


ミスリルの鉱脈の洞窟は制覇したので次の洞窟を探検する事にする。

こちらの洞窟は鉱脈は無さそうだったのでサクッと…などと思ってたらかなり深い。しかも何も無い…魔物も居ないし、ただ長いだけの洞窟だった。

途中までは慎重に歩いて来たけど馬鹿馬鹿しいのでサッと走り出した。洞窟探検によって感知能力はかなり上がってる様だ。2時間ほど走ると大きく広い場所に出た。その先は…地底湖になっていた。透明度は高くて美味しいお水だ。この湖の中には魚が居るようだが、目の無い変な魚ばかりだ。地底湖はかなり広くてその先までは全く見えない。何かあんまり面白くなさそうなので、取り敢えず此処で打ち止めにするかな。

何かさ、昔見てた川口○の探検隊みたいにど派手な音楽とナレーションでも有れば、何も無いこの洞窟でもハラハラドキドキだったのだろうけどね。


帰りも走って戻ったので結構良い修業になったよ。


さて、最後の洞窟の前に腹ごしらえにする。

昨日の獲物から兎を取り出してサクッと解体して丸焼きにする。血抜きが甘いのでチョイ生臭いけど、まあ何とか食えるし食事も修業の一つだからね。


そして最後の洞窟に挑むのであった。

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