第39話 「あ、あんたが言うっ!?」
しっかしまぁこの二人、ホントに仲良くなってるなぁ。なんか共通点があるとここまで早いものなのか? まぁ、その共通点が俺ってのがちょっと……いや大分気まずいんだが。
あぁ、でもコレはちゃんと言っておかないとな。
「なぁ秋沢よ。結は先輩だろ? ちゃんと敬語とか使った方がいいんじゃないのか? 教員ってわけじゃないから俺に対しては別にいいけどさ」
そう、秋沢の言葉遣いだ。いつも俺に話してる用な口調じゃマズイんじゃないかと思っての忠告だった。が、
「私は別に気にしませんよ?」
「気にしないだって。それに、ちゃんと使い分けてるから大丈夫」
「使い分けってお前……中々したたかだな」
「ふふん」
「褒めてねーよ……」
何故か誇らしげに胸を張る秋沢。おいやめろ。胸を強調すな。それに、さっきまでのしおらしい態度はどこにいった? 数分とたってねーぞ?
そんな秋沢の隣で落ち着いてコーヒーを飲む結は、ついさっき店員にカップを割ったことを謝っていた。さっきの割れた様な音は結が犯人だだったのか……。
と、その時コーヒーを飲む結の動きが止まり、視線は俺の後方に向いた。
「あ、おねえちゃん。おかえり」
「……ただいま。ちょっと晃太。これ、一体どういう状況なのよ」
「俺に聞くなよ。で、結と一緒に盗み聞きしてた柚は途中で店出てどこ行ってたんだ?」
「ちょっと! 他の生徒の前ではそういう呼び方やめてよ! 外に出たのは手持ちが無くてちょっとATMに行ってきただけよ。それに盗み聞きじゃないわ。勝手に聞こえてきたのよ」
「いや……お前が先に晃太って呼んだんじゃねぇか……」
勝手に聞こえてきたとはすごい言い訳だなぁ、おい。
にしても、結と柚が二人で喫茶店なんて珍しいな。こっちきてから初めて聞いた気がするぞ。
聞いてみようとすると、それは結が聞いてくれた。
「そういえばおねえちゃん、話ってなんだっの? 結局聞かないまま外に行っちゃったし」
「うっ……それは……」
柚は言葉につまると秋沢を見て肩を落とし、俺を睨んでその肩を震わせる。な、なんだよ……。
やがて柚は視線を結に戻すと、大きくため息を吐いた。
「はぁ、もういいわよ。また今度ね」
「なんだ? なんか話があったのか? 俺達の事は気にしなくていいぞ」
「あ、あんたが言うっ!?」
何故か怒られた。むぅ……。
「ところで秋沢さん。勝手に話を聞いたのは悪いとは思っているわ。ただ、人を好きになるのをダメとは言わないけど、学生なのだから節度をもった行動を心掛けてね?」
おぉ、柚がなんか教師っぽい。
「天音先輩は?」
「え?」
「先生の妹の天音先輩には言わないの? 天音先輩もボクと一緒で好きなんだって。妹には言わないの?」
柚が結を見る。[言ったの!?]みたいな視線だ。視線を向けられた結は特に反応もせず、普段通りの表情でニコニコしていた。
「そ、そうね。もちろんちゃんと言うわよ? 結、あなたも好きならちゃんと節度を……ね?」
「はい天音先生。学校では節度をもった行動をします」
うわぁ、すっごい笑顔。
学校では……ね。アパートでも、もう少し節度をもってくれると俺の精神衛生上助かるんだが……。
ほら、こっちは男だし色々あるわけですよ。結がしっかり寝たのを見計らってとかも考えたけど起きてきたらを考えると中々……ね?
うん。これはゆゆしき事態だ。
爆発してしまう。
━━いつも読んでくれてありがとうございます。
面白いよ! もっと読みたいよ!って思っていただけましたら幸いです。
ブクマ、コメント付き⭐レビュー、☆評価、応援、感想など貰えると執筆の励みになります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます