第27話 い・も・う・と
インターホンから聞こえる声は、俺の妹の
なんでいきなり? あ、いや確かに帰ってきてからバタバタで会ってなかったな。
それで拗ねて来たのか? まだ小五なのにここまで一人で?
まぁいい、とりあえず開けるか……の前に、今の状況はマズイ!
「結、彩那が来た。とりあえず早く自分の部屋に戻って着替えないと、彩那に誤解されて何言われるかわかったもんじゃないぞ」
「え、彩那ちゃんがですか? 私は別にいいんですけどね。誤解されても。よいしょ……」
「いやいやいや! この子まだ思春期! ってなんでまたベッドの中に入ってんの!?」
なに? 外堀りから埋めようとしてるの!?
「はぁーい。わかりまーした」
結が少し拗ねながら起き上がろうとする。その時、
ガチャ
は?
「大家の娘であるこの彩那ちゃんが合鍵をもっていないとでも思ったかぁー! あ……」
あぁ! 結が俺のベッドにいるの見られた!
ベッドにいる結を見た彩那は、一瞬動きが止まったかと思うと、すぐに手に持っていたスマホを結に向けた。
パシャッ
「おにぃと結ちゃん同衾……っと」
「おぉぉい! なんで撮った!? つかそんな言葉よく知ってんな! まだ小五だろ!?」
「は? なに言ってんの? 彩那もう中一だし。小五は前におにぃが帰って来たときでしょ? それから全然帰ってこないし、彩那が進学した時も仕事忙しくて帰れないっていってたじゃん。シスコン失格」
あれ? そうだったか? やべ、覚えてねぇや。……シスコン合格を貰うのもヤバい気がするのは気のせいか?
つか俺のラノベ!?
ってその話じゃない。
「つーか今日はいきなりどうした? 後、その格好……なんだ? すっげぇフリフリしてるけど、その格好でここまで来たのか?」
なんつーか、彩那の格好はすごかった。全身白とピンクでいたるところにリボンやらフリルやらが付いている。頭はサイドテールにしているが、やたらフワッフワなカチューシャみたいなのが乗っていた。
彩那は目も大きく、全体的に整っていて可愛いから似合ってはいるのだが……。
「おにぃ、ゴスロリはわかるでしょ? まぁそれとは違うんだけどね。けど、黒ロリとは近いかも? そしてこれは甘ロリってゆーの。可愛いでしょ?」
ロリロリ言ってるけど、妹がなにを言ってるのかさっぱりわからん……。そして自信満々に言ってるけどそれ、ちゃんと合ってるのか?
「そして、今日来た用件なんだけど……おにぃ! 実は彩那とおにぃは血が繋がってないの! だから恋人になれるの!」
「は? え? 血が? まじで?」
「嘘に決まってんじゃん。彩那彼氏いるし。おにぃの部屋を片付けてるときに見つけたラノベに義妹系があったから言ってみただけだよ。初めは『うわっ!』って思ったけど、彩那にもイケメンの義兄がいたらめっちゃテンション上がると思ったから許してあげる。ちなみに同衾もそれで覚えたよ」
こんな性格だったっけ? あれ? にいちゃんにいちゃん!ってギュウしてきてくれた彩那はどこに行ったんだ……。それに彼氏まで……彼氏!?
「ちょ! お前に彼氏いるなんて聞いてないぞ!?」
「言ってないもん。出来たの最近だし」
「それ、父さんには?」
「言うわけないじゃん」
「だよな。一晩中泣いてそうだ……。で、どんな奴だ!?」
「んーとね、普段は地味メガネで目立たなかったんだけど、よく見るとかっこいいの。家が道場で実は強くて、彩那が困ってた時に助けてくれてそこで好きになっちゃった」
どこのラノベだ。
「おにぃ、そんなことより結ちゃんは? さっきから置いてけぼりになってるよ?」
「はっ! そうだった。結ごめん。あまりにも彩那が持ってきた情報量が多くて……」
「いいですよ。二人の会話は聞いてて楽しいですし」
怒ってないか。よかった……。
「ところで、結ちゃん着替えないの? ちょっとブラ見えてるよ。おにぃもチラチラ見てないで教えてあげないと」
「へ?……あ……」
「んなっ!?」
「き、着替えてきます! 」
バッ! と胸元を隠すと、結は自分の部屋に行ってしまった。
「い、言おうとしたらお前がきたんだよ……」
「ふ〜ん。そーゆーことにしといてあげる」
ホントだっての。
「で、肝心の用件は?」
「んとね、おにぃに会いに来たっていうのが一つ。もう一つは、三人で買い物にいこーう!」
「買い物? なんで?」
「んーなんとなく?」
「なんだそりゃ。まぁいいか。俺たち今から朝飯だけど、彩那は?」
「食べてきたからいーよー」
「わかった。じゃあとりあえず顔洗ってくるわ。彩那は適当に暇でも潰しててくれ」
「はいはーい」
俺はそのまま脱衣場にある洗面台に向かった。
「……多少の進展はあったっポイよっと。写真も添付して送信♪ ふふふ……結ちゃんをお姉ちゃんにするぞ計画開始! 今日はお母さんも結ちゃんのお母さんもお休みだし、何かあればすぐに指示もくるから完璧だよ、おにぃ♪」
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