第17話 「聞いてますかっ!?」

 なぜ俺は正座をしているんだ……。


「晃太おにぃちゃんに聞きたい事があります」


 何故か結も俺の目の前で正座している。

 しかもなんかプリプリ怒っている。ポニテもなにやら荒ぶっておられる。何故? 聞きたい事ってなんぞや? まったくもって見に覚えがないんだがなぁ……。


 尚、帰ってきてからすぐにこの状態である。


 ちなみに目の前の結の格好は、胸元が大きく開き、長さが膝上まであるニット。そこから白い足が伸びている。え? 見えないけどちゃんと下に穿いてる……よな? まさかな……。


「聞いてますかっ!?」


 結はそう言いながら四つん這いになって床をバンバンと叩いた。

 おい、その体勢はやめろ。胸元広がってるから! 色々見えるから! 見え……え? 見えない!? まさかノーブラ!? いや、チラッとだけ紫色が見えたな……って俺は何を見てんだ!

 ……水色か。以外と可愛らしいのを……じゃなくって、


「あ、あぁ聞いてるぞ。何の事だ? ……あっ! おにぎりと弁当の感想か! めっちゃうまかったぞ! 午後忙しくてメッセージ送れなくてゴメンな」

「あ、おいしかったですか? それは良かったです。あの、良かったらまた作ります……けど?」

「いや、それは大丈夫かな」

「えっ……」

「いやぁ、だって大変だろ? 勉強もあるんだし。いつも通り買ってくよ」


 朝はゆっくり寝たいもんだしなぁ。無理はさせられんよ。って思ったのに


「大丈夫ですっ! 一つ作るのも二つ作るのも変わらないので! だから明日からも作りますからね。わかりました?」


 だそうです。


「そうか。結の飯は上手いからそれはそれで嬉しいかな。じゃ、俺は風呂洗ってくるわ」


 俺は逃げ出した!


「ダメです」


 しかし後ろから腰にしがみついてきた!


「ちっ」

「逃がしません。美味しいって言われて、嬉しいって言われて、ものすごぉーーく嬉しいですけど、ダメです」

「わかったよ。で、何の事だ? そして離れなさい」


 なんか当たってるから。

 そしてまた向かい合って座る。


「では聞きます……秋沢真澄ちゃんとは誰ですか?」

「お? 知ってんのか? 一年の子だぞ」

「知らないですよ。それにそういうことではなくてですねぇ……。今朝、その子と倉庫で一緒にいたんですよね? おねぇちゃんから聞きました」

「あ、あいつ言いやがったのか。人のみっともない姿を! まったく……」

「み、みっともない姿ってなんですかっ!?

 一体何してたんですか!? 」


 ぬぉ! グイグイくるな。


「いや、その子と話してるうちに時間経っててな。ちょっと仕事遅れて校長に怒られたんだよ」

「それは聞きました」


 聞いたのかよ。なら言えよ〜もう〜。


「そうではなくて、あの……その子とは仲良いんですか? 倉庫では何してたんですか?」

「あぁ、さっきの食い付きはそっちかよ。仲? 普通じゃね? っても話すようになってからまだ数日だぞ? それに大人と子供の仲良いってのもよくわからんし。倉庫では世間話くらいだな。あいつ、普段喋らねぇけど倉庫来ると結構色んな事話すんだわ」

「そうですか……。これは……う〜ん??」


 何やら考え込んでる模様。


「おねぇちゃんが言ってたんですけど、その子……その子も胸大きいんですよね?」

「あ〜うん。腕を組むと腕に乗ってたな。てか、柚のやつは何を言ってんだ……」

「やっぱり大きいほうが好きですか?」

「いや、そういうわけでもないけど……ってなんの話だよ」

「むぅ……とりあえずは大丈夫……ですかね? 別にその子が好きとかじゃないんですよね? 」

「当たり前だろ」


 なんだ? まるで嫉妬でもしてるみたいな……まさかな。大方、俺に彼女ができて部屋に呼ばれると気まずいから嫌とかだろうか?


 さて、なんかウンウンうなってるけど話は終わりかな?

 俺は膝を立てて行動開始しようとする。


「じゃあもういいか? 俺は風呂洗いにいくぞ?」

「ん〜はい。お願いします。あ、晃太おにぃちゃん」

「ん?」

「私だって少しはその……む、胸、乗りますよ?」


 そう言いながら腕を組む結。


 やめんか!






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