「SWAN SONG」

第1話

君の汚れた翼を嘲笑った

侮蔑と餞別と

これが最後の合図だ

往けよ 真新しい自由を


僕らは優雅に

ただ不埒な真似ばかりで

目隠しをして

何から逃げて来たのか

手に手を取り

赦された領域(territory)を越えた

戯れ疲れてやっと気がついたんだ

水面下で藻掻く、

醜い両の足とその必然に


きっと彼の瞳は

慣れ過ぎてしまっていたんだろう

風邪が伝染る瞬間(とき)の様な速さに

例えるなら夜の深さ、

或いは彼女の美しさに


水面(みなも)に映った群青が波紋になって

彼等の背後に忍び寄っていた


そして密約は果たされず、

終の住処と決めていた濁った湖とその胸から

僕は踵を返したんだ

君の羽衣を隠したまま


もう嘘もつけない程、

掠れてしまった声で、

あの時 何を云った?


いつか君が

白鳥に生まれ変わったなら

来世でまた、逢いに行けるだろうか?

その時は羽撃いて見せて欲しい

産まれたての残酷な真っ白で、

白丁のままの僕を見て、

今度は君が、笑えばいい。


               

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「SWAN SONG」 @ruileo_strings

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