タイトルは謎かけ

 よいタイトルとはなんぞ、という問いかけに対する答えは簡単ではありません。まず読みたくなる、興味をひくというのは一つのポイントでしょう。

 かつ作品の内容を表していないとならないわけです。新人賞などに応募する際、最後までタイトルをどうするか悩んだという経験のあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

 作品そのものに手を加える時間がない〆切当日にも、タイトルくらいは考える隙間はあるものです。

 この「証拠のかわりに」というタイトルは謎提示型の題名です。「証拠のかわりになんなのさ?」と読者の興味をひくわけです。きちんと答えは作中で示されます。

 レックス・スタウトの作品には『毒蛇』なんてシンプルなものもありますが、印象的なのは『腰抜け同盟』でしょう。もっとも、これは日本語訳をした翻訳者の手柄も大きいのですが。

 現代においてタイトルをつけるのは難しくなってきているように思います。まず過去に同じ題名があればかぶってしまい、という問題があります。加えてネット社会で作品数も多くなった今、検索でヒットしやすいかどうかは大事になってきているでしょう。

 おそらく【毒蛇】だけで検索をかけても、ネロ・ウルフにたどり着くまでには相当な情報(主に本物の毒ヘビ関連)をかきわけないとならないはず。

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