アンフェア
前回、「証拠のかわりに」には本格ミステリマニアからすれば見逃すわけにはいかない“ツッコミどころ”があるといったことを書きました。今回はその辺りについて言及します。
全面的にネタばらしにはならないようにしますが、勘のよいかたは仕掛けの一部にピンとくるかもしれません。未読のかた、事前に情報なく楽しみたいかたは、ご注意ください。
では、センシティブな部分に入ります。
本格ミステリにおいて「作者は地の文で嘘を書いてはならない」という掟のようなものがあります。「証拠のかわりに」で私が引っかかったのは、ここ。
いや、語り手のアーチー・グッドウィンの認識が事実とズレているだけで「読者を騙すために嘘はついていない」と反論もきそうです。
なんとなくマニアを自認している身として、自らの勉強不足を感じたのですが、語り手自身の誤認が一般的に「地の文で嘘をついてはならない」にあたるのかどうか、自信をもって「こうだ」と答えられません。
白状すると、少し前まではアンフェアとする立場だったのですが、よく考えてみると語り手の誤認をなくすとミステリなんて成立しない気がしてきたのです。
少なくとも筆者が本格ミステリを書く際には、「証拠のかわりに」の該当箇所のような書き方は避けます。多少、不自然でも違う書き方をするでしょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます