カード

 日本で言うところのトランプ、カード遊びは海外ミステリで時折、出てきます。といっても、古典になるのですが。あまり近年の海外ミステリは読めていないので正確なところは把握しておりませんが、執事やメイドのいる館で食後にみんなでブリッジ(カードゲームの一種)なんてのは、さすがに現代ではないでしょう。

 ネットが世界を繋ぎ、スマホでゲームができ、娯楽や暇つぶしが発達・充実した今「トランプなんて」といったところでしょうか。

 ベントリーの「好打」のときに「ゴルフは社交の場なので人間関係のいざこざを描きやすい」といったことを書きました。カードも似たようなもので、あれは一種の社交の場なのではなかろうか、と感じました。

 ゴルフのプレーには性格が出る、とも言いますが、ゴルフをやらない私にはいまいちピンときません。トランプにも性格が出るでしょう。こっちのほうはわかります。

 筆者は冒険をせず、手堅く勝ちに行くタイプ。もっとも、これがお金を賭けるとなると別で、リスクをとって勝ちに行く破滅型に転じてしまうのかもしれません。怖いのでギャンブルはできません。

 キャラクターの性格と犯罪の性質がわかちがたく結びついたとき、とても奥行きのあるミステリができる、と感じています。

 クリスティーの『ひらいたトランプ』では、ブリッジの点数表を手がかりに性格的なものから真相にアプローチをしていきます。ブリッジというゲームが日本ではなじみが薄いこともあり「クリスティーといえば、あれ面白いよね」とはなかなかなりにくい作品。カードとミステリ、ゲームをプレイする人物の性格とミステリといったことを考えるうえでは重要な作品です。

 心理的アプローチから犯人に迫るということでは『ひらいたトランプ』以上に成功している作品があるため、『ひらいたトランプ』が割をくっているきらいがあるものの、ゲームに現れる性格とミステリという試みは評価されるべきものだと感じます。

 現代の日本でやるならば、どんなゲームが適しているのかは難しい問題です。さきほども書きましたが、過剰なほど娯楽があふれているので、誰もがルールを知っているというものを選ぶのが難しい。

 やはり、ポーカーとか大富豪とかになるのでしょうか。マージャンかなぁ、とも思うのですが、筆者はマージャンのルールを知りません。


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