みなさん、ゴルフはおやりになって?

 簡単に「好打」のあらすじを。

 アーサー・フレアは大のゴルフ好き。日曜日以外は朝食の前にハーフラウンド、プレーするのがならわしです。ある日、フレアはゴルフ場で死体となって発見されます。服はずたずたで、焦げ跡までついています。

 検死裁判では雷に打たれたらしいと結論付けたのですが、雷雨はなかったはず。さて、死の真相は?

 こんな感じでしょうか。

 私はゴルフをやらないし、見ないので、ぼんやりとしか描写が理解できない部分も多いのですが、楽しい作品。ブラッシーとか二番ウッドとかピンとこないのですが、ゴルフを知っていればより面白さがわかるのだと思います。

 ゴルフは当時のイギリスではよほどポピュラーなのか、ミステリにもしばしば登場します。クリスティーの作品にはタイトルからズバリというものもあるほど。

 どうもゴルフ場というところは、ミステリにはおあつらえむきなようです。

 適度に自然があって人気の少ない死角ができて犯行がしやすい。それでいてド田舎ではないので、ほどよく人間がいる。人の出入りが管理されているので、容疑者の限定がしやすい。社交の場でもあるので人間関係のいざこざがある。

 考えれば考えるほど、ゴルフ場はミステリ書きにとって都合のよい場所です。

 ゴルフは一日中一緒にいて、ご飯も食べるから、仲良くなるにはいい方法だ、なんて話も聞くくらいです。仲良くならなければ気付かなかった嫌なところが見えてきたり、知らなくてもいい情報を知ってしまったりということもあるはず。

 これはボンヤリにボンヤリを重ねるほど適当な想像なのですが、1930年代当時のミステリの読者とゴルフをたしなむ人の層がかなり共通していたのではないかとも感じています。

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