皮肉屋……でもないのか

 ベントリーは皮肉屋。そう書きました。

 でも、そうなのか? 冷静に考えると、そうでもなさそうなのです。たとえば『トレント最後の事件』にしても、作者本人の思惑はともかく、現代からすれば、さほど強烈な探偵小説へのカウンターにはなっていないように感じるのです。もっとも、発表当時の「現代」であれば、アレは相当衝撃的であったと推察はできるのですが。

 では、なぜ筆者がベントリー皮肉屋説に傾いているのかといえば、「ある作品」のせいでしょう。作品名は挙げませんが、「好打」の肝の部分をギャグというか彩りに使っているものがあるのです。メインではなく、そっとしこんでいるぐらいの感じ。

もしかしたら、元ネタに気づかない人もいるかもしれません。いや、あの作品のあの部分を読んで「好打」を思い浮かべる人は最初の消費税率くらいかもしれません。

 問題の「ある作品」の書き手がミステリとアイロニーとシニカルをブレンドする達人、しかも、古典ミステリに精通した人だから、ベントリー=皮肉屋という構図が私の頭にあるのかもしれません。

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