時計ウサギは江戸川乱歩の夢に出たか
最後ですので、放り出しておいた中途半端なことを整理しましょう。
まず、乱歩はアリスの物語についてなにか言及していなかったのか、という点について。『江戸川乱歩コレクション・Ⅰ 乱歩打ち明け話』(江戸川乱歩著/新保博久 山前譲編/河出文庫)はすべて読み返せていないのですが、ここが怪しいかもしれないとあたりをつけて読んだ範囲では、ルイス・キャロルやアリスについての話は出てきませんでした。「身辺多事の年 ――昭和六年」というエッセイにこんなやりとりがあったのに驚いたくらいです。引用します。
(問)あなたの青春に、最も影響を与えた書物。
(答)ダーウィンの「進化論」。
『江戸川乱歩コレクション・Ⅰ 乱歩打ち明け話』(江戸川乱歩著/新保博久 山前譲編/河出文庫)P.200より
元々は「宝石」昭和二十八年八月号に掲載されたもののようです。ちょっとややこしいですが、先ほどの引用部は一問一答の一部で、アンケート自体は「身辺多事の年 ――昭和六年」の乱歩の記述によれば雑誌「新青年」の企画らしい。そして「身辺多事の年 ――昭和六年」という文章は後に乱歩の『探偵小説三十年』と『探偵小説四十年』にも収録されているとのこと。
晩秋の軽井沢の思い出についても書きたかったのですが、それはまた別の機会にでも。《心には翅もあらん蝸牛》と俳句をひいて、次の「黄色いなめくじ」に行きたいと思います。
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