つくりかたを推理する
推理小説を読むとき、「どうやってつくられたか」を分析することが多くなりました。ここでは評論めいたものを書いていますが、私はミステリ書きでもあります。書き手のかたは同じような経験がおありかもしれません。
近年、短編小説では「きっとこうやって書かれたのだろう」と見当がつくことが多くなってきました。もちろん、当たっているかどうかは別の話ですが。
この「密室の行者」の初読のときは、もちろん、そんな書き手視点の読み方はしていません。今回、読み直したタイミングがちょう
ど新しい作品にとりかかるためにプロットを組んでいたときだったこともあり、「つくられかた」にはどうしても関心が向きます。
「密室の行者」のカギは、トリックが先か、シチュエーションが先か、というところです。
シチュエーションとは「食うに困らない百万長者が食糧のかたわらで餓死している」というもの。餓死とはほど遠い富豪を隣り合わせにする。ちょっと捩れというか歪みがあります。そして、このいびつさは、きっと作者好み。
ノックスの性格を考えると、状況が先にあり、どうやったらそんなシチュエーションを成立させられるかをひねり出したのではないかと思うのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます