地味、でもないか

 作風を地味と書きましたが短編集『ウィルソン警視の休日』を読み進めるうちに、地味というのは誤りではないかと思い始めました。「ウィルソンの休日」や「国際的社会主義者」あたりは、かなり劇的なことをやっています。

 展開や謎のたてかたは派手でも、地味な印象になるのは捜査の描きかたがリアルに寄っているからかもしれません。

 著者が学者だからデータの提示と検証が名探偵的なフィクションのリアリティーよりも、ノンフィクションのリアリズムになっている印象。

 この辺りを「緻密」と書きましたが、これも「丁寧」に訂正する必要がありそうです。

 クロフツ的な誠実さ、と書きかけて、これは「オスカー・ブロズキー事件」に近いのではないかと思い始めました。

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