外科医にして作家
今回から「キプロスの蜂」です。
最初に注意があります。旧版『世界短編傑作選』バージョンの扉裏の内容紹介がトリックのネタばらしになるという指摘があったことから、新版『世界推理短編傑作集』では問題の部分がカットされています。旧版をお読みの際は、お気をつけください。
としたうえで、まずは簡単な情報系を。作者はアントニー・ウィン。外科医で自由党議員という変なキャリアです。
どうも医者とミステリ作家というのは、相性がいいらしいです。使う脳の機能が似ているのかもしれません。現代でも医師にして作家という人はいますが、ミステリの初期に特に多い印象があります。
まぁ、このあたりの脳の機能うんぬんは医者でない私にはよくわからないのですが。一つ、ぼんやりと浮かんでいる仮説は、高い情報処理能力に加え、安定した収入と空き時間があったからではないかというものです。
話がわき道にそれました。作品データに戻ります。一九二六年に雑誌で掲載、一九二七年に短編集収録。この短編集の日本語訳はされていないようです。
物語は、警視庁のバイルズ警部が謎の木箱を前に「ねえ博士、いくらあなたでも、ちょっと解けそうもない謎があるのですが」と告げる場面から始まります。落ちていたという問題の箱には、生きた蜂が入っていた。なぜ。
毎作品、同じようなことを書いていますが「キプロスの蜂」もだいぶ内容は忘れていたために、面白く読めました。前回、取り上げた「茶の葉」のように、このシリーズには有名どころのトリックを扱った作品が多く収録されています。乱歩はトリック収集家だったため、この傾向はうなづけます。
前回と同じく、「キプロスの蜂」にもあまり語られない魅力があります。まずはその話をしたいと思います。
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