「茶の葉」の推理の流れ

 今回はネタばらしをして「茶の葉」について、引き続き考えていきます。


※※※以下、「茶の葉」のトリック、犯人、真相などについて言及します。未読のかたはご注意ください※※※






 推理の流れを簡単にまとめてみました。


 1、推定された「先のとがった半インチ幅の鉄の棒」という「大きくて隠しにくい凶器をわざわざ使おうとしない」はずだ、と疑念を抱く。

 2、緑茶の葉が「ちょうどうまく」「心臓の上の所の、凶器の刃先の当たる一点にひっかかって、刃先といっしょに体内に突っ込まれたのだとは、信じられ」ない、「納得しにくいほど、うますぎる偶然」だと考える。

 3、被害者が「癌でひじょうにくるしんで」いて、「しばらくはがんばるつもりだが、けっきょくは自分で片をつける」と口にしたことから自死の可能性を検討するが、傷を負った状態で「立ちあがって凶器をかくす」のは無理だと一旦は、排除する。

 4、夢により、「真相をつかみうる」「鍵は」、「研究室にあるのではないか」と調査をする。

 5、研究室で「必ずラベルが貼ってある」はずにもかかわらず「ラベルが貼っていない」「妙な」「ガスのシリンダー」が「空っぽ」であることに気づく。

 6、「研究室へ買い入れた品全部が記録してあるノートを調べ」ると「二酸化炭素のシリンダー一缶と、氷を七ポンド」購入していることがわかり、「二酸化炭素の氷、いわゆるドライアイス」の「固い丈夫な短刀」をつくったことに思い至る。


 3と6だけあれば充分という感じもしますが、5がポイントでしょう。5から6への流れが見事。1と2はいらないとお感じになるかもしれませんが、助走としては必要だと私は考えます。

 4の夢というのが、やや弱い気もしますが、研究室を調べるためには、その理由はどうしても必要ですので、あまり厳しい点をつけるのもあれでしょう。










※※※今回、更新分は最後までネタばらし部分です。ここまでで今回分は終わり※※※


 次回はトリックについて触れずに、「茶の葉」の読みどころについて書きます。



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