今回はネタばらしをしております
今回からは数回にわたってネタばらしをして、「茶の葉」の工夫について、語っていきたいと思います。
※※※以下、「茶の葉」のトリック、犯人、真相などについて言及します。未読のかたはご注意ください※※※
事件の真相は、ケルスタン老人の自死。サウナ室に持ち込んだ魔法瓶のなかに二酸化炭素の氷でつくった錐状の凶器を隠して、その凶器で自分を刺す。現場は熱いサウナ室なので、熱により凶器は溶けてしまう。
よく言われる「氷のナイフ」あるいは「消える凶器」(前回の伏せ字●の部分はこれ)を扱った代表的な作品です。
みなさんも「氷のナイフ」のアイデアはご存じでしょう。
私があらすじで避けたのは「凶器が消えた謎」と「現場がサウナ室であったこと」のニ点です。この二つの要素が揃ったら、今のミステリファンは「氷のナイフ」という発想に簡単にたどり着くでしょう。ファンでなくても、思い浮かぶと私は考えます。
推理小説のガイドブックなどで一般的にされているような「あらすじ」では、それを読んだ時点で「あぁ、あれね」となり、実際に最後まで目を通してもらえなくなる。そして、それは作品にとっても読者にとっても望ましくないと私は考えるのです。
いくら変わったあらすじをひねり出しても、実際に読み始めれば「凶器が消えた謎」と「現場がサウナ室であったこと」は提示されます。その時点で多くの読者は真相に気づくでしょうが、そこまで読めば最後まで読んでもらえるかもしれません。
そして、最後まで読めば、ただのワンアイデアだけの物語ではないことに気づいてもらえるかもしれないのです。
※※※今回、更新分のネタばらし部分は、ここまでで終わり※※※
長くなりそうですので、今回は私が変わったあらすじを書かなければならなかった理由について書きました。
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