実は横溝的
物語は事件の依頼を受けた探偵事務所の所長から、「私」が代わりに現地での調査のための出張を打診されるところから始まります。
船も海も苦手という所長の代理を快く引き受けてバルバドス島に向かうも、「私」の調査は捗らず、というお話。小さなポイントは「私」は事件を解決できるのか、というところ。これは『赤毛のレドメイン家』をすでに読んでいらっしゃるかたなら、ニヤリあるいはニタリとできるのではないでしょうか。
このバルバドス島という設定が実に効いているのです。この島はイギリスの植民地で奴隷がいる島なのですが、例外的に血が流れなかった島として描かれています。
依頼人はこの島を所有する双子の兄弟、被害者は双子の一人、島の住人からは絶大な信頼を受けていて、恨まれることのなかった存在というのが、大きな鍵になります。
この企画の裏テーマは乱歩の実像を探ることなのですが、「三死人」はある意味で横溝正史的な土俗的な集落の悲喜劇的なモチーフがちらちらと見え隠れするのです。
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