シリーズものの設定

 今回は「ダブリン事件」を取り上げます。作者はバロネス・オルツイ。ピンとくるかたもいらっしゃるでしょう。安楽椅子探偵ものの元祖的な「隅の老人」シリーズを手がけた人です。「ダブリン事件」もシリーズの一作。

 いつも喫茶店の隅にいる謎の老人に、新聞記者のポリー・バートンが事件の話をすると、老人は話を聞いただけでたちどころに謎を解いてしまう、というのがシリーズの基本的なフォーマット。

 現代のシリーズものでは、基本設定はさらっと書くのが普通です。これはどの作品から読んでもよいようにという配慮でしょう。

 基礎知識として、隅の老人シリーズはポリー・バートンが持ち込む謎を老人が解決するものと知っているかたはよいでしょうが、いきなり「ダブリン事件」を読んだかたは、なぜ新聞記者が老人に事件の話をするのか、二人の関係に説明がないことに落ち着かないかもしれません。

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