第13話 選択肢

「みなさんが入学してそろそろ1ヶ月が経ちます。自分の特性、やりたいことが見えてきたと思います。最初に説明したように入学後1ヶ月経ったら各自必ず武活ぶかつに入部しなければなりません。世間一般の部活とは違い、戦闘に特化した【武】の活動を行います。武活は6つに分かれていて、武器の修練を積む【武器術部】素手や能力の修練を積む【無手術部】魔術の修練を積む【魔術部】武具製作を学ぶ【技術部】医術を学ぶ【医術部】対ドラゴン戦略や研究を行う【戦略研究部】やこの6つの部の総称を武活と呼び放課後訓練を行います。この武活は全国大会や世界大会もありますのし、成績次第では昇進もありますよ。希望を取りまとめますので用紙に記入し提出して下さい」


そういって最前列に優香は用紙を配り始める。


「おいキャロルお前何部に入るんだ?」


「私は全ての武活に入りますわ」


「全部!? 欲張りだなお前」


「私にはオールラウンダーしか道がありませんわ。どんなに努力しても1つの道が10の内2までしか極められませんので、6つ極めて12にするしか無いんですの。無茶は承知の上ですわ」


「そうか・・・すまん」


「謝られると余計腹が立ちますので辞めてくださるかしら。むしろ笑ってくれたほうが清々しいですわ」


「あっはっは! いやはや才能無い奴は大変だな~! HA!HA!HA!」


ゴスッ。


キャロルの左ストレートが炸裂する。


「いってーーー!」


「フンッ」


「はいそこ静かに!」


放課後校庭


「おい、キャロルまだ怒ってんのか?」


「当然ですわ。今日はこのシールドが割れるまで帰しませんわ」


キャロルは板状のシールドを守の前に展開する。


「ってふざけんな! 厚さがいつもの3倍はあるじゃねーかよ!」


「いい加減この位割れるようになって下さいまし。そろそろ自分のコアの使い方が解ってきたでしょう?」


「はいはい」


守は集中し構える。

集中・・・集中・・・キャロルが言ってた。

心臓から血液の流れを追っていくイメージ。それを手に集め・・・放つーーー


ソイヤァ!


シールドは粉々に吹っ飛び地面はえぐれ砂埃が舞う。


「なっ!? 私の出せる最高硬度のシールドをこうもあっさり・・・って!?」


「やったぜキャローーーブッ! うわっなんだ真っ暗だぞ!?ーーーってキャロル!?」


気が付くと息のかかりそうな位置にキャロル顔があった。


「ななな! 何やってんだよキャロル!?」


「仕方ないでしょう!?さっきの盾で魔力使い切ってしまったので何も出せないんですわ。それより貴方・・・《《出て》》ますわよ」


守の目は爬虫類のように細くなり、牙は伸び口からは青い炎が漏れていた。


「お・・・俺どうしたら・・・」


混乱する守。


「貴方まだ本当の事をお2人に隠しているのでしょう? 落ち着いていつもどおりの姿をイメージして下さいまし」


深呼吸する守。次第にいつもの人間の姿に戻っていった。


「戻りましたわ。まったく・・・又新しい課題が出来ましたわね」


「すまねぇ・・・助かった。ありがとなキャロル・・・所でお前、何かいい香りするな」


キャロルの顔がみるみる赤くなる。


「と・・・とにかくこれは貸しですわ!」


キャロルは掛けていた制服を取る。そこには顔を赤くした大地と千里が立っていた。


「最近お前ら何か仲いいと思っていたが・・・見損なったぞ守ーーー!」


大地は涙を流しながら走り去る。


「まま・・・守君・・・キャロルちゃんとそういう・・・私は応援してるよ・・・うわぁあああん」


千里もその場を走り去る。


「ちょっとあんた達ーーー! 誤解ですわーーー!」


「誤解なんだ! 俺はペッタンコに興味は無ぇーーー!」


「何ですってーーー!?」


「しまっ!」


キャロルの蹴りが守の股間を直撃する。


「--------!?」


守は股間を押さえて倒れこむ。


「ちょっと待ちなさいですわーーー!」


2人を追いかけるキャロル。




しばらくして2人を捕まえたキャロルは先ほどの状況を説明する。


「と、言うわけでして目に宿る魔力を確認するための行動でしたの。よろしくて?」


「何だ・・俺達はてっきり隠れてキスでもしてんのかと思ったぜ・・・な?千里」


「私は守君を信じてた・・・よ?」


「嘘つけ千里!応援してるとか言ってただろ!」


「えー、言ったかなぁ・・・あはは」


「とにかく・・・次は千里、この一ヶ月の成果を見せてくださるかしら?」


「・・・やってみる」


「ではこの水の入ったボール状のシールドを浮かした上で私の言う通りに中身の水を変化させて下さいまし」


そう言ってキャロルはボールを投げる。キャロルはすぐボールを浮かす。


「では・・・まず沸騰」


水は次第に熱を持ち泡を立て沸騰する。


「次、冷凍」


水はゆっくりと凍り始め水の表面がうっすらと凍る。


「次、解凍した後、水を4分割」


氷は解け水へと戻り、その後丸く4つに分かれ浮かぶ。


「では最後に球を割らないように球中のみの爆発」


球内が光を放ち爆発するーーーが、威力が高くシールドが割れ爆風が辺りに吹き付ける。



「えっと・・・失敗しちゃいました・・・ごめんなさい」


「ま・・・失敗ですわね。ですが最初よりはるかに制御出来るようになっておりますわ。腕輪の設定をもう少し上げて、魔力量を増やしても大丈夫そうですわね」


「本当!? ありがとう、キャロルちゃんのお陰だよ!」


千里はキャロルの手を握る。


「フンッ。私の面目のためですわ。次、大地いきますわよ!」


「おっしゃ! 何すればいいんだ!?」


「大地、あんたはーーー」




「はい、終了ですわ。結果はこの紙に書いてありますわ」


キャロルは大地に紙を渡す。


握力55キロ

50メートル走7、0秒

上体起こし40センチ

反復横飛び60回

射的ハンドガン10メートル10発中5発命中

射的スナイパーライフル600メートル10発中命中1発


「って・・・何で俺だけ体力テストメインなんだよ!?」


「今の貴方はこれぐらいでしか計れないから仕方ないでしょう。銃の修練が足りませんわね・・・ま、平均よりちょっと上くらいねおめでとうですわ。」


「何か喜べねぇな」


「大地。基礎体力をバカにしてはいけませんわ。基礎体力×魔力量×コアの性能ですのよ。この3大要素の内努力で一番効果が出やすいのが基礎体力ですわ」


「なるほど! ちゃんと考えてくれてるだな」


「私は無計画な事は嫌いですの。わかったらさっさと走ってらっしゃい」


「俺も走るぜ大地!」


「わ・・・私も」


「ち・・・千里は魔力の練習をやったほうが・・・な、大地?」


「お・・・おう。千里はそっちの方が優先だな」


「な・・・何よ2人とも・・・何でのけ者にするの!?」


守と大地は走り出しながら口を揃えて言う


『お前のは揺れるから集中出来ねぇんだよ!』


「へっ・・・?」


意味を理解し千里の顔が赤くなる。


「まったく・・・男共ってほんとバカですわね」


「何やってんだキャロル! 早く来いよー! 置いて行くぞ!」


「はいはい・・・って何で私は大丈夫ですの!? ちょっとあんた達! 待ちなさいですわーーー!」

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