第4話 俺だけ見えない…
女はエミル達が行ったのを確認して、店の親父をゴミでも見るかのような目で見る。
「我が主に恥をかかせたな…」
「何が恥だ!イチモツがはみ出してる状態で街を歩く奴に恥なんてあるか!」
親父もイケイケでやるならやってやるといった様子。
ここは腐っても地獄。
鬼にもピンから切りまで強さがあるが、店を開くにはある程度の力がないとやっていけないのだ。
「主が帰還なされて今日はとても喜ばしい日です。なので殺しはしませんよ。良い夢を…
女が親父に手を向けると魔法陣が浮び、親父は悲鳴を上げたあと、動かなくなる。
目は虚ろになり、口からはヨダレが垂れ、時折、体がびくんびくんと痙攣をしているようだ。
女は店を出ると
エミルが
一本一本が太く、そして高い。樹齢1000年はゆうに超えているだろう。
どこに建物があるのかとキョロキョロしているとシェルが走り出し、早くこっちと手招きする。
え?シェルはどこに行った?
このまま行けば木に当たるんですけど…
すると木から手がニョキッと出てきて引っ張り込まれる。
いやー!と叫びそうになったがシェルの手だった。
建物が急に現れたぞ?どうゆう事だ?
「おと様、結界が見えないですか?」
嘘っ!シェルには見えるの?
なんで?
俺って最強なんじゃなかったの?
何も感じないんですけど…
見た感じラスピリも見えてるみたいだし…
騎士は…当たり前か。
そういえば名前を教えてもらわんとな。
建物に入ると5人のメイドが出迎える。
豚の顔をしたオークだ。
なんでオークだよ!
違うだろ!
全然萌えないんだが!
せめてメイド服脱げよ!気持ち悪いよ…
部屋に案内してもらうと、ご馳走がテーブルの上に所狭しと並んでいる。
「おぉ!飯が用意してあるぞシェル!食べてもいいのか?」
シェルは目を輝かせ早く早くとせがんでいる。
騎士は一言どうぞというと席に着く。
肉に野菜にスープか。
肉を噛むと肉汁が飛び散る。
ジューシー過ぎだろ。うまい!
だが…野菜はいらないな…
ラスピリなんかは自分よりでかい肉にひっつきかじりついている。
こいつ…肉に抱きついてるが全部食えよ?
服が肉のタレでベチャベチャじゃないか。
汚いやつだな〜。
「おと様。口の周りと服が汚れてますよ?」
シェルがテーブルナプキンでそっと拭いてくれる。
あれ?どうしてこうなった?
ラスピリの汚い食べ方を見てたからか?
シェルの優しさにぐっとくるが、父としてどうなんだろうか?
シェルを見ると、きれいに食うなこいつは。
肉の骨ごときれいになくなっている。
骨はなぁ…まぁ喉に刺さらなければいいか。
「フフフ。相変わらずの食べっぷりですね。」
いつの間にか魔女風の女が帰ってきていた。
ラスピリのせいかと思ったが昔からこの食べ方なのか…
娘にダメ親父と思われたかな…
いや将来の介護の事を今から勉強するのもいいだろう。
そう。わざとだ。わざと汚く食べてるんだからね。シェルの為に。
「そういえばお前らって誰だっけ?」
「おと様、さっき久しぶりって言ってたのに。知らないですか?」
なんかシェルに見られたらいけない所を見られた気がするな…
だが子供は親の背中を見て育つというからな。
俺のように立派になれよ!シェル。
「これは失礼しました。覚えてなかったとは。私はルイン様の弟子のユアです。」
「私はエルドラ様の弟子のシエンです。」
だから雰囲気が似てたのか。
名前も聞けて快く飯が食えるな。
「なんでか知らんが記憶がないんだ…もぐもぐ…ルインとエルドラの事もわからなかったしな…もぐもぐ…それよりよくあそこにいるとわかったな」
「おと様…口から出てます。行儀悪いです。汚いです。」
娘に怒られる親父ってどうなのよ?
普通は俺が娘に注意する事だから。
なんか…逆じゃね?
「ルイン様にもしもの事があった場合の事を聞いていたので『閻魔殿』に近い場所で探知しておりました。」
閻魔殿か…封印されてた場所のことかな?
「ルインとエルドラは無事なのか?まだなら迎えに行ってくれないか?」
ユアは俯き少し考えた。
「ルイン様とエルドラ様は…今は会えないですね…」
ふむ…今はあまり深く聞かないほうがよさそうかな…なんかユアが泣きそうだ。
だが今まで輪廻転生は天道と地獄道でしか出来てないんだったら、何故俺だけが例外なんだ?
俺と一緒にいた『
考えだすとキリがないな…
取り敢えず、
「風呂に入って休んでもいいか?少し疲れたみたいだ。」
特に頭が…難しい事を考えると頭が痛くなる。
「すぐに用意させますね。」
ユアはメイド服を着たオークを呼ぶと指示を出す。
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